朝覲(読み)ちょうきん

精選版 日本国語大辞典 「朝覲」の意味・読み・例文・類語

ちょう‐きん テウ‥【朝覲】

〘名〙 (「覲」は謁見の意)
諸侯または属国の主などが参朝して君主拝謁すること。
江戸繁昌記(1832‐36)五「大国某の侯、朝覲して府に参ずる、是れなり」 〔礼記‐楽記〕
天皇が太上天皇または皇太后の宮に拝謁すること。特に年の初めに太上天皇または皇太后の宮に行幸して拝賀する儀式。東宮も成人のときにはこの儀がある。
続日本後紀‐承和元年(834)正月癸丑「天皇朝覲後太上天皇於淳和院、太上天皇逢迎」

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デジタル大辞泉 「朝覲」の意味・読み・例文・類語

ちょう‐きん〔テウ‐〕【朝×覲】

[名](スル)《「覲」は謁見の意》
諸侯または属国の王などが、参内して君主に拝謁すること。
鎌倉に―するを以て」〈岡三慶・今昔較〉
年頭に、天皇が上皇または皇太后御所に行幸すること。また、その儀式。践祚せんそ即位元服の後にも臨時に行われる。

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改訂新版 世界大百科事典 「朝覲」の意味・わかりやすい解説

朝覲 (ちょうきん)

天皇が年の初めに太上天皇,皇太后の宮に行幸して,正月のあいさつをすること。朝覲行幸ともいう。朝覲は本来は諸侯が天子に拝謁する意。多くは正月2日または3,4日を用いるが,吉日を選ぶこともあり,一定していない。嵯峨天皇の809年(大同4)8月を起源とするが,これは正月でなく,正月の行事としては仁明天皇の834年(承和1)をはじめとする。850年(嘉祥3)正月4日の例では,天皇は母后の橘嘉智子に朝覲のため冷泉院に行幸し,小雪降る北風の寒いなかに天皇が階下にひざまずき,また還るとき階下より鳳輦(ほうれん)に召すようにとの母后の命を天皇は固辞したが,左右大臣が〈礼は敬のみ,命の如くせしめ給ふべき〉と言上し,天皇は御簾の前にいたり,北面してひざまずき,階下に輦を寄せて,殿を下り輦に乗ったという。《続日本後紀》では,これを〈孝敬之道,天子より庶人に達す〉と記しており,この儀には孝道思想のあらわれがあるといえよう。中断はあったが江戸時代までみられた。
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普及版 字通 「朝覲」の読み・字形・画数・意味

【朝覲】ちよう(てう)きん

諸侯が謁見する礼。〔周礼春官、大宗伯〕春見をと曰ひ、夏見を宗と曰ひ、秋見を覲と曰ひ、見をと曰ひ、時見を會と曰ひ、殷見(いんけん)を同と曰ふ。

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