朝来(読み)アサゴ

デジタル大辞泉 「朝来」の意味・読み・例文・類語

あさご【朝来】

兵庫県中央部にある市。播磨はりま但馬たじまを結ぶ古くからの街道上にあり、現在も播但連絡道路が通る。平成17年(2005)4月に生野町和田山町山東町朝来町が合併して成立。人口3.3万(2010)。

ちょう‐らい〔テウ‐〕【朝来】

朝からずっと続くこと。朝以来。
「―市中の人多き所々に」〈露伴露団々

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精選版 日本国語大辞典 「朝来」の意味・読み・例文・類語

ちょう‐らい テウ‥【朝来】

〘名〙 朝からずっと続くこと。朝以来。多く、副詞的に用いる。朝から。朝になって。朝に。
田氏家集(892頃)下・暮春宴菅尚書亭同賦掃庭花自落「朝来尋逐見花顔、旧日芬芳此日還」 〔晉書‐王徽之伝〕

あさご【朝来】

兵庫県中北部の地名。円山(まるやま)川の上流域を占める。中心地和田山山陰本線から播但線が分かれる鉄道の要地。平成一七年(二〇〇五)市制。

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改訂新版 世界大百科事典 「朝来」の意味・わかりやすい解説

朝来[市] (あさご)

兵庫県中北部の市。2005年4月旧朝来と生野(いくの),山東(さんとう),和田山(わだやま)の4町が合体して成立した。人口3万2814(2010)。

朝来市中西部の旧町。旧朝来郡所属。人口7549(2000)。円山(まるやま)川上流域に位置し,中国山地の山に囲まれ,町域の大部分山林が占める。北流する円山川沿いに水田が開け,国道312号線とJR播但線が通り,播但連絡道路のインターチェンジがある。米作,畜産などを中心とした農業が行われる。円山川支流神子畑川上流には三菱金属明延(あけのべ)鉱山神子畑選鉱場跡や国の重要文化財になっている神子畑鋳鉄橋がある。東部に1975年に完成した関西電力奥多々良木発電所(最大出力193万2000kW)がある。

朝来市南部の旧町。旧朝来郡所属。人口5077(2000)。中国山地の分水嶺にあたり,瀬戸内海へ注ぐ市川と日本海へ注ぐ円山川が流れる。《播磨国風土記》によれば,ここに荒ぶる神がいて道行く旅人の半数を殺したので,〈死野(しにの)〉と呼ばれたが,応神天皇の勅によって生野と改められたという。807年(大同2)の発見とされる生野銀山とともに発展してきた町で,延喜年間(901-923)にはすでに採掘されていたといわれる。その後一時廃鉱となったが,天文年間(1532-55)に山名祐豊によって再び採掘が始まり,戦国大名山名氏の経済を支えた。江戸時代は幕府直轄の銀山となり,幕府は生野代官を置いて盛んに採掘し,最盛期の慶長・元和期(1596-1624)には鉱山町も形成された。明治に入って官営となったが,1896年に三菱の経営に移り,1940年ころには日産3万tの銅,鉛,亜鉛などを産出した。その後,主鉱脈が掘りつくされ,73年に閉山した。以降,急激な人口減少と産業構造の急変をみるが,旧代官所跡や鉱山博物館(シルバー生野)の設立などによって鉱山跡地の観光開発が進められている。また生野工業団地も造成されている。

朝来市北東部の旧町。旧朝来郡所属。人口6392(2000)。南部は粟鹿(あわが)山などの山々が連なり,北部は盆地状をなし,円山川上流の与布土川などが北流する。山陰本線梁瀬駅のある中心の梁瀬は山陰道の旧宿駅で,メリヤス工場がある。農業は米作と畜産が中心となっている。夜久野ヶ原はソバの産地として知られ,苗木の生産も行われる。

朝来市北部の旧町。旧朝来郡所属。人口1万7051(2000)。東は京都府に接する。円山川上流に位置し,周囲は山に囲まれているが,山陰道と生野街道の分岐点として早くから開け,城ノ山古墳や池田古墳(前方後円墳)などがある。15世紀半ばには山名持豊(宗全)が,南部の竹田にある古城山(354m)に竹田城(虎臥城)を築いた。竹田城は1577年豊臣秀吉に攻められて落城したが,中世の代表的な山城といわれ,遺構は国の史跡に指定されている。明治以降,養蚕を基礎に製糸・紡織工場が立地し,JR播但線と山陰本線が開通してその分岐点となった。現在,繊維工業は衰退し,工業では金属ばねや和田地区の和家具の生産に特色がある。農業では円山川沿いの水田が南但馬の穀倉と呼ばれるほか,畜産,酪農なども行われる。山王神社の例祭(7月15日)には〈ざんざか踊〉(豊作祈願の太鼓踊)が奉納される。赤淵神社本殿(室町期)は重要文化財。但馬吉野と呼ばれ,桜の名所で知られる立雲(りつうん)峡は,竹田城跡から円山川をはさんだ対岸の朝来山(756m)中腹にある。播但連絡道路が通じる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「朝来」の意味・わかりやすい解説

朝来
あさご

兵庫県中央部、朝来郡にあった旧町名(朝来町(ちょう))。現在は朝来市の中西部を占める一地区。旧朝来町は1954年(昭和29)中川、山口の両村が合併、町制を施行して成立。郡名をとって町名とした。2005年(平成17)生野(いくの)、山東(さんとう)、和田山(わだやま)の3町と合併、市制を施行して朝来市となる。播但(ばんたん)山地に位置し、円山(まるやま)川が旧町域中央部を南から北へ貫流し、この谷をJR播但線と国道312号、播但連絡道路が走って、但馬(たじま)と播磨(はりま)を結ぶ。国道312号は立野(たての)で国道429号を分岐する。神子畑(みこばた)は15世紀末から銀を盛んに産出し、一時官営鉱山ともなったが、その後、明延(あけのべ)鉱山(養父(やぶ)市)の選鉱場となる。

 農業、林業と鉱業が中心であるが、明延鉱業の合理化に伴い、1971年には人口も激減し、1975年に完成した揚水式発電所の奥多々良木発電所(おくたたらぎはつでんしょ)は、町勢振興の柱となった。この発電所は1998年(平成10)に増設工事が完了、最大出力193万キロワットと日本有数の揚水式発電所となった。1987年には明延鉱山が閉山。1885年(明治18)に外国人技師の架けた神子畑鋳鉄橋は国指定重要文化財、八代(やしろ)の大ケヤキは国の天然記念物である。

[大槻 守]

『『朝来町史』上下(1981~1982・朝来町)』


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普及版 字通 「朝来」の読み・字形・画数・意味

【朝来】ちよう(てう)らい

朝から。南唐・李〔烏夜〕詞 林謝し了(をは)る、春の紅 太(はなは)だ怱怱(そうそう)たり 奈(いかん)ともする無し 來の雨 來の風

字通「朝」の項目を見る

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「朝来」の意味・わかりやすい解説

朝来
あさご

兵庫県中部,朝来市西部の旧町域。円山川上流域にある。 1954年山口村と中川村が合体して町制。 2005年生野町,和田山町,山東町の3町と合体して朝来市となった。大部分が山岳地帯で,中央を円山川が北流する。中心集落の新井 (にい) の西方約 8kmの神子畑 (みこばた) には,かつて明延鉱山の東洋一といわれる選鉱場があり,鉱山鉄道で同鉱山と通じていた。ここに残る神子畑鋳鉄橋は国の重要文化財。南部の上岩津にある岩屋観音は石仏で有名。東部は朝来群山県立自然公園に属する景勝地。八代の大ケヤキは国の天然記念物。

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世界大百科事典(旧版)内の朝来の言及

【上富田[町]】より

…紀伊水道に注ぐ富田川下流に位置し,中央部を西南に流れる富田川沿いに小低地が開け,紀南地方の穀倉地帯となっている。中心集落の朝来(あつそ)は熊野街道の海岸回りの大辺路(おおへじ)(現,国道42号線)と内陸の中辺路(なかへじ)(現,国道311号線)の分岐点で,古来交通の要地であった。国道42号線に並行して紀勢本線が走る。…

※「朝来」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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