朝所(読み)あいたんどころ

精選版 日本国語大辞典 「朝所」の意味・読み・例文・類語

あいたん‐どころ【朝所】

〘名〙 (「あしたどころ(朝所)」の変化した語。「あいだんどころ」とも) 太政官庁内の北東部にあった建物の名。ここで参議以上の人が会食し、また政務も行なった。あしたどころ。あいたどころ。
延喜式(927)一一「参議以上著朝食所
※金刀比羅本平治(1220頃か)上「大極殿豊楽院(ぶらくいん)諸司八省、朝所(アイダンドコロ)

あいた‐どころ【朝所】

〘名〙 (「あしたどころ」の変化した語) =あいたんどころ(朝所)
※枕(10C終)一六一「官のつかさのあいた所にわたらせ給へり」

あした‐どころ【朝所】

中務内侍(1292頃か)弘安一一年三月一五日「あした所へかへりいらせおはします」

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デジタル大辞泉 「朝所」の意味・読み・例文・類語

あいたん‐どころ【朝所】

《「あしたどころ」の音変化》大内裏太政官だいじょうかん正庁の北東隅にあった殿舎の名。参議以上の者が会食をし、また、政務にも用いられた。あいたどころ。

あした‐どころ【朝所】

あいたんどころ」に同じ。
「事(=豊明ノ節会)果てて、高御座たかみくらより―へなりぬ」〈中務内侍日記・下〉

あいた‐どころ【朝所】

あいたんどころ」に同じ。

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改訂新版 世界大百科事典 「朝所」の意味・わかりやすい解説

朝所 (あいたんどころ)

平安宮で太政官の北東隅の舎屋。朝食所,朝膳所とも記す。《大内裏図考証》では東西16丈(48.5m),南北11丈と推定し,《枕草子》には瓦ぶきと見える。儀式書や記録には列見れつけん)・定考(こうじよう)のとき,宴座えんのざ)に移る前に公卿以下が酒食をしたためる場所として見えるが,内裏焼亡などのとき,天皇以下の御在所ともなり,後三条天皇延久記録所もここに置かれた。
太政官庁
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の朝所の言及

【太政官庁】より

…そのとき,外記局の政庁と弁官局の政庁が別個に設けられ,前者が外記庁(平安宮では内裏建春門の東),後者が太政官曹司,太政官庁または弁官庁などと呼ばれた。平安宮では,内裏の南,朝堂院の東に,東西56丈,南北40丈の地を占め,正庁,東庁,西庁,朝所(あいたんどころ)などの建物があった。平安時代中期以降,平常事務が官人各個の邸宅で行われるようになったため,太政官庁は列見(れつけん)以下の年中行事的儀式執行の場となり,朝堂院の廃絶以後は,即位礼,大嘗会などの大礼・大祀もここで行われるようになった。…

※「朝所」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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