有賀喜左衞門(読み)あるがきざえもん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「有賀喜左衞門」の意味・わかりやすい解説

有賀喜左衞門
あるがきざえもん
(1897―1979)

社会学者、文化人類学者。明治30年1月20日長野県に生まれる。姓は「ありが」とも称した。1922年(大正11)東京帝国大学美術史学科卒業。柳田国男(やなぎたくにお)、マリノフスキーラドクリフ・ブラウンデュルケームモースなどの影響を受け、在野の研究者として日本農村社会の社会学的研究に先駆的業績をあげ、1938年(昭和13)の『農村社会の研究』を改訂増補した主著『日本家族制度と小作制度』(1943)を著した。第二次世界大戦後は、1949年東京教育大学に社会学科創設以来その主任教授を務め、1956年文学博士。1957年定年退官後は慶応義塾大学教授を経て日本女子大学学長に就任した。戦後も『日本婚姻史論』(1948)に始まり、遺著文明・文化・文学』(1980)に及ぶ多くの著書、論文を発表し、日本の社会学および隣接諸科学に広範な影響を与え、家や同族をはじめとする各種の「家連合」の観点を中心に、日本社会の構造と日本文化の特質を論じ、たび重なる異文化との交流のなかで文化変容を示した日本の文化、社会を説いた。脳腫瘍(しゅよう)手術後回復せず、昭和54年12月20日死去。

中野 卓 2018年11月19日]

『『有賀喜左衞門著作集』全11巻(1966~1971/第2版・12巻・別巻1・2000~2012・未来社)』『有賀喜左衞門著、中野卓編『文明・文化・文学』(1980・御茶の水書房)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android