有田川(読み)ありだがわ

精選版 日本国語大辞典 「有田川」の意味・読み・例文・類語

ありだ‐がわ ‥がは【有田川】

和歌山県北部を東西に流れる川。高野山に源を発し、紀伊水道に注ぐ。全長六七・二キロメートル。在田川。

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デジタル大辞泉 「有田川」の意味・読み・例文・類語

ありだ‐がわ〔‐がは〕【有田川】

和歌山県北部を流れる川。高野山に源を発し、有田市紀伊水道に注ぐ。長さ67キロ。

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日本歴史地名大系 「有田川」の解説

有田川
ありだがわ

高野山上に源を発し、有田郡清水しみず町・金屋かなや町・吉備きび町、有田市を貫流して紀伊水道に注ぐ。全長約九四キロ、流域面積約四六七・八平方キロ。二級河川。名称は郡名に起因し、古くには阿提・安諦・阿などが用いられていたが、郡名が大同元年(八〇六)在田ありだに改められたのちも、例えば空海の御手印縁起に引く弘仁七年(八一六)七月八日付の太政官符には「当川」、同縁起図には「阿手河」、丹生都比売にうつひめ神社(現伊都郡かつらぎ町)に古くから伝わるという丹生大明神告門に「阿諦河」などとみえる。下って「中右記」天仁二年(一一〇九)一〇月一八日条には「有田河借橋」とあり、弘長二年(一二六二)四月二五日付湯浅宗業寄進状(高山寺文書)には「あてのつゝみ」「在田河」の両表記がみえる。以降も様々な異表記がみられるが、主としては有田・在田が用いられたようである。近世に入り和歌山藩は郡名の公称を在田としたため川名も在田となり、明治(一八六八―一九一二)以後郡名とともに有田に統一された。

源流は高野山上の隠所おど(御殿川)である。高野山上は隆起準平原の平坦面をなし、山上では内八葉・外八葉と称され、三十六谷といわれる小谷が集まって御殿おど川となるが、主流の源は弁天べんてん(九八四・五メートル、嶽山ともいい、御手印縁起図には神応峯とある)で、ここを谷上という。

有田川
ありたがわ

黒髪くろかみ山より流下する有田川は伊万里湾流入まで二〇キロ。上流部は有田町の人家密集地を貫流、黒牟田くろむた川や南川良なんがわら川を合わせて西有田町に入り、黒川くろごう川・北川内きたんこうち川・蔵宿ぞうしゆく川・内野うちの川・広瀬ひろせ川・浄源寺じようげんじ川を集め、唐船とうせん城の丘を回り、山田やまんだ川を合わせ、伊万里市二里にり町に入り、大里おおさと川を合わせて伊万里湾に注ぐ。安永年間(一七七二―八一)川口に八谷搦はちやがらみとよばれる干拓が造成されるため、川東より北東流していたのを現在のような北流に河道を変更した。

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改訂新版 世界大百科事典 「有田川」の意味・わかりやすい解説

有田川[町] (ありだがわ)

和歌山県中部,有田郡の町。2006年1月金屋(かなや),吉備(きび),清水(しみず)の3町が合体して成立した。人口2万7162(2010)。

有田川町西部の旧町。有田郡所属。人口9053(2005)。有田川中流域に位置し,紀伊山地に属する長峰・白馬両山脈が広く分布する。有田川本支流沿いの低地に集落が点在し,中心集落の金屋は谷口に開けた市場集落である。農林業を基幹産業とし,ミカンや野菜の栽培が盛んで,特にシシトウの出荷量が多い。生石(おいし)高原地帯ではトマト,キュウリの抑制栽培が行われる。北東部の生石ヶ峰一帯は生石高原県立自然公園に属する。鎌倉前期の華厳宗の高僧明恵の誕生地で,明恵が草庵を結んだ明恵上人筏立遺跡,明恵の死後,高弟喜海が湯浅宗氏と協力して建てた歓喜寺があり,本尊の阿弥陀如来座像や地蔵菩薩座像は重要文化財。ほかにも文化財が多く,薬王寺観音堂,法音寺本堂,白岩丹生神社本殿,鈴木家住宅などが重要文化財に指定されている。

有田川町西端の旧町。有田郡所属。人口1万4971(2005)。有田川下流に位置し,北部には紀伊山地西縁の長峰山脈が,南部には白馬山脈が走り,その間に有田川の平野が開ける。町名は古代に設けられた吉備郷に由来する。西部をJR紀勢本線,国道42号線が通り,JR藤並駅から有田鉄道が分岐する(有田鉄道は2002年廃止)。阪和自動車道のインターチェンジがある。農業が基幹産業で,養鶏も行われる。有田ミカンの主産地で,和歌山県農林水産総合技術センター果樹試験場がある。西山浄土宗の浄教寺には重要文化財の仏涅槃図,大日如来座像があり,明恵上人神谷遺跡は国の史跡に指定されている。室町時代の連歌師宗祇の生まれた地ともいわれる。

有田川町東部の旧町。有田郡所属。人口4616(2005)。有田川上流域に位置する。町域には紀伊山地に属する長峰・白馬両山脈が広く分布し,東は県下最高峰の護摩壇(ごまだん)山(1372m)を境に奈良県と接する。町域の大部分が山林で,林業を基幹産業とする。古くからシュロサンショウの特産物があり,和紙製造も行われた。北西端は生石(おいし)高原県立自然公園,東端は高野竜神国定公園に属する景勝地で,観光開発も進められている。古代から中世にかけて阿氐河荘(あてがわのしよう)の荘域に含まれ,安楽寺,吉祥寺など重要文化財級の寺宝をもつ古刹(こさつ)も多い。
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有田川 (ありだがわ)

高野山を水源とし,紀伊水道に注ぐ川。幹川流路延長94km,全流域面積468km2。北は長峰山脈に,南は白馬山脈によって限られ,和歌山県の北寄りをほぼ東西に流れる。流域は上流の伊都郡かつらぎ町の旧花園村を除き,有田川町,湯浅町,有田市は旧有田郡に属して,行政的にもまとまりをなしてきた。地質的には紀北の古生層と紀中の中生層の接触地帯にあたり,複雑である。上流は,和歌山県の最高峰護摩壇山をはじめ,1000mをこす険しい山が連なり,深い渓谷をなして有田川およびその支流が蛇行しながら流れる。上流域は林業地域となり,植林が進んでいる。谷口集落の有田川町金屋以西は回廊状の狭い沖積平野を伴い,有田市へ注ぐ。河口はらっぱ状で三角州の形成も乏しいため,荒れ川としても知られ,1953年7月に流域は大洪水に襲われ,8割近くの耕地が流失・冠水した。66年には上流に二川(ふたがわ)ダムが多目的ダムとして築かれ,防災・灌漑用に利用されている。近世以来,山麓では有田ミカンが栽培されてきたが,1960年以降ははんらん原の水田も転用され,流域の総耕地の8割以上がミカン園である。流域の中心都市は長い間南隣の湯浅町であったが,河口の有田市に近代工場が進出するにつれ,しだいに銀行,官庁が移動して有田市が中心都市になりつつある。有田川の上流は高野竜神国定公園に指定され,70年に高野竜神スカイラインが開通した。海岸はリアス海岸が発達し,西有田県立公園に含まれ,釣場として関西の人を集めている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「有田川」の意味・わかりやすい解説

有田川
ありだがわ

和歌山県北部を流れる川。高野山(こうやさん)の御殿(おど)川に源を発し、西流して有田市箕島(みのしま)で紀伊水道に注ぐ。延長67.2キロメートル、流域面積約430平方キロメートル。上流部を除きほぼ有田郡全域を流域とすることから有田川とよばれる。もとは在田川と書いた。北側は高野山から西走する長峰(ながみね)山脈、南側は護摩壇山(ごまだんざん)から西走する白馬(しろうま)山脈で、古生層と中生層の境界線を流れ、中流部に地すべり地帯がある。1953年(昭和28)7月16日全流域に及ぶ大災害があり、1967年清水(しみず)町(現、有田川町)二川(ふたかわ)に防災ダムがつくられた。下流一帯は有田ミカンの中心的栽培地で、かつては川船で河口箕島北湊(きたみなと)に運ばれた。古くからの農用井堰(いせき)も多い。アユが放流され、有田市では鵜飼(うかい)(県指定無形民俗文化財)が行われる。

[小池洋一]

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百科事典マイペディア 「有田川」の意味・わかりやすい解説

有田川【ありだがわ】

和歌山県中北部を西流する川。長さ80km。高野山の南に発し,古生層からなる600〜1000mの山中に深い曲流流路をつくり,金屋町(現・有田川町)から下流には谷底平野を形成し,箕島(有田市)で紀伊水道に注ぐ。古くは阿手河などとみえ,13世紀には木材の筏(いかだ)流しが行われていた。平野部は有田ミカンの大産地。
→関連項目阿【て】河荘金屋[町]紀伊山地吉備[町]清水[町]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「有田川」の意味・わかりやすい解説

有田川
ありだがわ

和歌山県中北部を西流する川。高野山に源を発し,有田市で紀伊水道に注ぐ。全長約 67km。上・中流部では穿入蛇行し,下流の金屋付近からは狭い沖積平野が発達。河口はリアス海岸の突出部にある。流域の山地は北側が古生層,南側が中生層で,両者を分ける東西線に沿って流れる。しばしば洪水が起り,特に 1953年7月には上流域の花園村で集落埋没の大災害を引起した。現在氾濫原となった水田は果樹園となっている。上流域はスギ,ヒノキを中心とする木材の産地,中・下流域はミカンの栽培中心地。中流に 67年完成の二川ダムがある。付近一帯は生石 (おいし) 高原県立自然公園に属する。

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事典・日本の観光資源 「有田川」の解説

有田川

(和歌山県有田市)
紀の国の名水50選」指定の観光名所。

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