有毒植物による中毒(読み)ゆうどくしょくぶつによるちゅうどく

家庭医学館 「有毒植物による中毒」の解説

ゆうどくしょくぶつによるちゅうどく【有毒植物による中毒】

 一般の野菜や山菜とまちがえて食べて中毒をおこします。
チョウセンアサガオ
 ゴボウとまちがえた中毒事故がよくおこります。ベラドンナアルカロイドが含まれています。当初は、からだのふらつき、だるさ、眠けが現われますが、不安、せん妄(もう)、失見当識(しつけんとうしき)、幻覚、活動亢進(かつどうこうしん)などが現われ、統合失調症の急性期や急性アルコール中毒とまちがえられ、病院に収容されることもあります。食べてから30分~2時間後に現われ始めます。
ハシリドコロ
 フキノトウとまちがえます。ベラドンナアルカロイドが含まれています。
ヒガンバナ科植物
 スイセンタマスダレ、ヒガンバナ、キツネノカミソリハマユウには、リコリンというアルカロイドが含まれていて、ニラ、アサツキノビルなどとまちがえて中毒をおこします。
 吐(は)き気(け)・嘔吐(おうと)が主症状です。重症になると、低血圧、頻脈(ひんみゃく)、期外収縮(きがいしゅうしゅく)などがおこり、心停止することもあります。
ドクゼリ
 毒成分はシクトキシンで、食用セリとまちがえて食べると、治まってはくり返すけいれん発作(ほっさ)がおこります。食べた量が多いと、代謝性アシドーシス腎不全(じんふぜん)のために生命にかかわることもあります。家庭での治療は無理です。すぐに受診しましょう。
トリカブト
 毒成分は、アコニチンを主とするアルカロイドで、体内に入ると、重い不整脈(ふせいみゃく)がおこります。山菜のニリンソウモミジガサと誤って食べ、中毒がおこることがあります。
 食べてから15~30分で、嘔吐、しびれ、脱力感、ことばのもつれ、頭痛、めまい、発汗などが現われ、立っていることができなくなります。目のかすみ、色覚異常(周囲が黄色く見えるなど)もおこります。不整脈が頻発し、ほかの症状が治まった後も続き、生命にかかわります。
[治療]
 症状が現われたら、まず、吐き出します。たとえ症状が現われなくても、同じものを食べた人は、全員吐き出し、受診してください。

出典 小学館家庭医学館について 情報

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android