月と六ペンス(読み)ツキトロクペンス(英語表記)The Moon and Sixpence

デジタル大辞泉 「月と六ペンス」の意味・読み・例文・類語

つきとろくペンス【月と六ペンス】

《原題The Moon and Sixpenceモーム長編小説。1919年刊。画家になるために妻子を捨て、タヒチ島に渡って大作に没頭する男の物語フランスの画家ゴーギャンモデルとされる。

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精選版 日本国語大辞典 「月と六ペンス」の意味・読み・例文・類語

つきとろくペンス【月と六ペンス】

(原題The Moon and Sixpence) 長編小説。モーム作。一九一九年刊。文明社会を逃れてタヒチ島に渡り、病魔に冒されながら絵を描くことにかけた、ある株式仲買人の第二の人生遍歴を描く。「月」は芸術への情熱、「六ペンス」は世俗的なものを象徴。画家ゴーガンの生涯ヒントを得たといわれる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「月と六ペンス」の意味・わかりやすい解説

月と六ペンス
つきとろくぺんす
The Moon and Sixpence

イギリスの作家サマセット・モームの長編小説。1919年刊。作者が強く心をひかれていた画家ゴーギャンをモデルにした作品。ロンドンの株式仲買店の平凡な事務員だった主人公ストリックランドは、ある日突然、17年間も生活をともにした妻と2人の子供を捨てて、パリへ行ってしまう。それは、ただ絵を描きたいという理由からだけだった。その後さらにタヒチに行き、30歳も年下の先住民の娘アタと同棲(どうせい)し、ハンセン病を病みながらも、金のためでもなければ、他人に見せるためでもなく、ただひたすら絵を描き続ける。金は芸術家の第六感だとうそぶいたモームが、純粋な芸術への郷愁を満足させるために書いた作品といえよう。題名の「月」は芸術創造の狂気を、「六ペンス」は平凡な俗世間をさすものと考えられる。発表と同時に反響をよび、モームの作家的地位を不動のものとした。

[瀬尾 裕]

『中野好夫訳『月と六ペンス』(新潮文庫)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「月と六ペンス」の意味・わかりやすい解説

月と六ペンス
つきとろくペンス
The Moon and Sixpence

イギリスの小説家 S.モームの小説。 1919年刊。画家ゴーガンの伝記に想を得て,芸術の魔力にとりつかれたストリックランドという男の一生を描いたもの。

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