最高価格令(読み)さいこうかかくれい(英語表記)Maximum général フランス語

日本大百科全書(ニッポニカ) 「最高価格令」の意味・わかりやすい解説

最高価格令
さいこうかかくれい
Maximum général フランス語

フランス革命中の1793年9月、物価高騰の抑制、生活必需品確保のため、山岳派(モンタニャール)が採用した経済統制令で、商品価格や賃金の最高限を設定したもの。革命の動乱対外戦争遂行の招いた物資欠乏、物価の騰貴に対処して、革命の防衛、戦争の勝利のための民衆の支持を確保しようとしたものであったが、隠匿、売り惜しみで効果が少ないばかりか逆効果とさえなり、同年末、対外戦の好転穀物、パン以外は適用を緩和した。しかし最高賃金のみは厳しく適用され民衆の反感失望を招き、94年7月に起こった「テルミドール反動」の一因は物価と賃金との矛盾にあるとされた。反動後の同年12月になって無条件で廃止された。

[樋口謹一]

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旺文社世界史事典 三訂版 「最高価格令」の解説

最高価格令
さいこうかかくれい
Maximum

フランス革命時代に制定された経済統制法
アッシニア紙幣の乱発によるインフレサンキュロット運動激化背景に,国民公会は1793年5月に穀物と小麦粉の,9月には全商品と賃金の最高価格を決定した。違反者は反革命容疑者とし,恐怖政治をおし進めた。1794年12月24日廃止。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「最高価格令」の解説

最高価格令(さいこうかかくれい)
Maximum

フランス革命期の価格統制令。1793年5月に穀物,飼料,9月に全日常必需品に適用された。恐怖政治の経済的側面をなすもので,テルミドール反動期の94年12月に廃止された。

出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の最高価格令の言及

【ディオクレティアヌス】より

…ローマ皇帝。在位284‐305年。ダルマティア(現,ユーゴスラビア領)の貧農出身の兵士であったが,軍人として頭角を現し,カルスM.A.Carus変死後東方で軍団から皇帝に推戴され,以後20年間帝国の再建に尽力して軍人皇帝時代に終止符を打った。彼はニコメディア(現,トルコ領イズミト)を居所とし,まず僚友マクシミアヌスを西方の皇帝に任じ,さらに2人の副帝を置いてそれぞれの正帝を補佐させるテトラルキア(四分治制)を採用した。…

【デナリウス貨】より

…やがて軍人皇帝時代になると,たんに銀箔をかぶせた銅貨にすぎなくなるほどに下落した。そのため,ディオクレティアヌス帝の〈最高価格令〉では純粋に名目上の価値として現れている。6世紀ころにはソリドゥス金貨の6000分の1として表示されている。…

※「最高価格令」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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