書庫(読み)しょこ

精選版 日本国語大辞典 「書庫」の意味・読み・例文・類語

しょ‐こ【書庫】

〘名〙 書物を収めておく建物や室。書物ぐら。
輿地誌略(1826)一「此に学館・書庫・鏤刻工場・貨幣座・薬局・大互市館に肆店六千区・諸貨を陳列し」 〔白居易‐池上篇序〕

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デジタル大辞泉 「書庫」の意味・読み・例文・類語

しょ‐こ【書庫】

書物を収めておく部屋・建物。
[類語]物置納屋納戸倉庫土蔵穴蔵金蔵米蔵穀倉文庫

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改訂新版 世界大百科事典 「書庫」の意味・わかりやすい解説

書庫 (しょこ)

書物を保存格納しておく倉庫。〈文庫〉ともいい,古くは〈文殿〉〈経蔵〉などとも称した。これに相当するラテン語,英語bibliotheca,ドイツ語Bibliothek,フランス語bibliothèqueなどはいずれもギリシア語bibliothēkēにもとづく。この語はbiblion(本)とthēkē(置場)の合成によるもので,西欧語でも元来は,書物の置場すなわち〈書庫〉の意が強かったが,最近では,書物の保管に閲覧の意を兼ねた〈図書館〉の意に用いられるようになった。書庫はその性質から,保温,通風,換気,採光,照明,乾湿調節,防麈,防虫,防火,耐震,盗難防止等にとくに注意を払って設計され,また,書物を収容する書架の構造と配列なども,書物の出し入れに便利なようにする必要がある。個人の家では,書斎の一部が書庫になっている場合が多い。

 世界最古の書庫は,イギリスのレヤードが,アッシリアの旧都ニネベで発見した,アッシュールバニパルの王宮文庫(前7世紀のもの)で,およそ2万2000個の粘土板文書が発見された。日本では,大納言石上宅嗣(いそのかみのやかつぐ)の芸亭(うんてい)が,最も古い書庫だといわれている。創立年代は不明だが,《続日本紀》によると,宅嗣の死没は光仁天皇の天応1年(781)とあるから,奈良時代の末期,たぶん宝亀年間(770-781)につくられたものであろう。これは私有文庫で,しかも公開したので有名だが,単なる書物収蔵所としては,官府のいわゆる官庫(和庫)など,芸亭より古いものがたくさんある。
図書館 →文庫
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「書庫」の意味・わかりやすい解説

書庫
しょこ

図書を保管するために用意され設備された部屋または建物。日本においては寺院に建てられた経蔵等が、古い例であろう。周囲の壁全面に経巻等を納めた箱を収納するための棚を設けたり、心棒をもつ回転式の収納棚である輪蔵(りんぞう)をつくる場合があった。また、江戸時代の内裏につくられた文庫のように、防火のためにおもな建物から離れた庭の一隅に建て、さらに土蔵造とした例も多い。ヨーロッパの建築では、ルネサンスからバロック期の傑作としてその前室(ミケランジェロ設計)が著名なフィレンツェのロレンツォ図書館や、ロココ様式でつくられているドイツのシュッセンリート修道院図書館(ツィンマーマン設計)をはじめ、近代初期の鋳鉄を使ったパリのサント・ジュヌビエーブ図書館などの例がよく知られている。図書館の書庫には、閲覧者が自由に本を選ぶことのできる開架式書庫と一般の閲覧者を入れない閉架式書庫がある。開架式は、ヨーロッパなどの例では出納等を扱う係員の席から閲覧者の動きが一望できるように、書架を係員の席を中心に放射状に配置しているところが多いが、この方式は日本では通常用いられていない。閉架式の場合は収蔵量を増すために可動書架にする場合もある。

平井 聖]

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図書館情報学用語辞典 第5版 「書庫」の解説

書庫

図書館資料を収蔵する部屋や場所.図書館の中にある場合と,書庫が独立した建物となっている場合がある.一般には資料の保存や管理を重視して職員や特定の利用者のみを書庫に入れるが,一般の利用者に開放している図書館もある.設計にあたっては,資料の収容力を高める工夫とともに,出納業務を考慮した使いやすさへの配慮も必要である.また,資料を良好な状態で長期間保存するために,防火,防虫害,温度,湿度,直射日光,ほこりなどの室内環境にも注意が必要である.

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普及版 字通 「書庫」の読み・字形・画数・意味

【書庫】しよこ

書物蔵。

字通「書」の項目を見る

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