普通契約条款(読み)ふつうけいやくじょうかん

精選版 日本国語大辞典 「普通契約条款」の意味・読み・例文・類語

ふつう‐けいやくじょうかん ‥ケイヤクデウクヮン【普通契約条款】

〘名〙 ある特定種類の取引に画一的に適用するため、あらかじめ定めた契約条項運送約款普通保険約款・銀行預金約款・倉庫寄託約款などがある。普通取引約款、普通約款とも。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「普通契約条款」の意味・読み・例文・類語

ふつうけいやく‐じょうかん〔‐デウクワン〕【普通契約条款】

運送・保険契約など多数の客を対象とする特定の取引について、あらかじめ定型的に定められた契約条項普通契約約款。普通取引約款。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「普通契約条款」の意味・わかりやすい解説

普通契約条款
ふつうけいやくじょうかん

企業者が特定の集団的・反覆的に行われる取引について、その内容の画一化と契約締結の迅速化を図るため、あらかじめ定めた契約条項をいう。たとえば、普通保険約款、運送約款、銀行預金約款、倉庫寄託約款などがある。

 普通契約条款による取引においては、取引の相手方は契約を締結するか否か自由であるが、契約の内容については約款の定めるところに従うほかなく(付合契約)、また契約内容を知っているか否か、またその意思有無を問わず、当事者がとくに約款によらない旨を表示して契約しない限り、約款によって契約したものと認められる。そのような普通契約条款が利用されている取引分野では、契約は約款によるということが慣習法または事実たる慣習と認められるために、約款による契約締結が有効であると解されている。しかし、普通契約条款による契約締結においては、契約自由の原則が著しく制約される。そこで、企業側有利の契約をいかに規制・制限するかということが問題となっている。たとえば、普通保険約款に対する監督官庁認可などというような規制が設けられることもある(保険業法)。また、約款内容を強行法的に規制し(割賦販売法金融商品取引法)、約款内容を開示させるという規制(割賦販売法)もある。裁判所においても約款の内容解釈において、消費者利用者に有利な解釈がなされることがある。

[永井和之]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「普通契約条款」の意味・わかりやすい解説

普通契約条款
ふつうけいやくじょうかん
allgemeine Geschäfts bedingungen

特定の種類の取引に画一的に適用されるために,あらかじめ定型的に定められた契約条項で,通常,活字などの不動文字で印刷して作成される。普通取引約款,普通約款ともいう。これにより,企業者は,大量的集団的な取引関係を迅速安全に設定処理できる。普通保険約款,運送約款,倉庫寄託約款,銀行取引約款などがそれである。この条款による取引においては,契約当事者が条款の個々の規定を知っていたかどうか,また特定の条項による意思をもっていたかどうかを問わず,当事者が特にその約款によらない旨を表示して契約しないかぎり,条款によって契約したものと認められ,拘束力をもつとされている。しかし消費者保護のために規制の強化が必要であるといわれている。 (→付合契約 )  

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の普通契約条款の言及

【約款】より

…大量の契約を画一的・定型的に締結し,処理することを目的として企業があらかじめ定めておく契約条項のことで,普通取引約款,普通契約条款などともよばれる。約款は,保険や運送など営業の性質上多数の顧客との定型的取引を前提として成り立つ取引分野において発生したものであり,その例としては(普通)保険約款や船荷証券に印刷された運送約款などを挙げることができる。…

※「普通契約条款」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

青天の霹靂

《陸游「九月四日鶏未鳴起作」から。晴れ渡った空に突然起こる雷の意》急に起きる変動・大事件。また、突然うけた衝撃。[補説]「晴天の霹靂」と書くのは誤り。[類語]突発的・発作的・反射的・突然・ひょっこり・...

青天の霹靂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android