晨(漢字)

普及版 字通 「晨(漢字)」の読み・字形・画数・意味


人名用漢字 11画

(異体字)
19画

[字音] シン
[字訓] あさ・あした

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 形声
正字はに作り、辰(しん)声。〔説文七上に「星なり。民の田時を爲すなり」とし、星の名とする。〔爾雅、釈天、星名〕に「大辰は心(星宿の名)の尾なり。大火、之れを大辰と謂ふ」とあり、〔国語、周語上〕に「農晨正なり」とあって、農時を示すものとされた。晶は星の象。星の初文はに作る。晨は晨旦昧爽の意である。〔説文〕は字条三上に「早なり。昧爽なり」とする。は辰(しん)(肉)を両手でもつ形で、金文の〔師鼎(ししんてい)〕の字はに従う形に作り、昧晨の字とは形が異なる。経伝の文に、昧晨の字には晨を用い、を用いることはほとんどない。農の初文はその形に従っており、晨を農祥とすることは、そのの字と関係があろう。

[訓義]
1. 房星。
2. あさ、あした、つとめて。
3. あしたする、あさをつげる。
4. 晨風)と通じ、はやぶさ

[古辞書の訓]
名義抄〕晨 アシタ・アケヌ・トキ・ナブルコト・トモ・ツクス・アキラカナリ・ケサ/凌晨 アサボラケ/晨 アリアケ 〔字鏡集〕晨 アシタ・ハノカス・アキラカ・トシ・アケヌ・トキツルキ・トキナブルコト・トリノヒ

[語系]
晨・zjinは同声。〔説文〕に晨を星名、を昧爽の意とするが、晨にその両義があり、は別義の字であろう。〔説文〕三上を「(きよく)辰に從ふ。辰は時なり。辰は亦聲なり。(けき)夕を(しゆく)(夙)と爲し、晨をと爲す。皆同なり」という。は月を拝する形であるが、辰は時をもつ形とはしがたく、辰は蜃、肉を奉持する儀礼で、おそらく農祭に関するものであろう。ゆえに農の初文に従う形に作る。のち晨・は同義の字として扱われている。

[熟語]
晨映晨烟晨賀晨駕・晨渇・晨寒・晨気・晨起・晨・晨暉晨曦・晨旭晨鼓晨午・晨耕・晨興・晨行・晨光晨昏・晨斎晨爨・晨・晨事晨粥・晨出晨妝晨宵・晨照・晨鐘・晨色・晨食晨炊晨酔・晨省・晨正・晨征・晨星晨霽・晨夕晨饌・晨装・晨・晨旦・晨釣・晨朝・晨潮晨暾・晨鉢・晨飯・晨・晨婦・晨風・晨暮・晨霧・晨明・晨門・晨夜晨曜晨耀・晨霤・晨旅・晨路・晨露・晨漏
[下接語]
花晨・詰晨・晨・候晨・告晨・今晨・司晨・夙晨・初晨・宵晨・清晨・夕晨・早晨・霜晨・達晨・微晨・風晨・払晨・芳晨


14画

(異体字)晨
人名用漢字 11画

[字音] シン
[字訓] あした

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 会意
辰(しん)+(きよく)。〔説文〕三上に「早なり。昧爽(まいさう)なり」と早朝の意とする。別に字条七上に「星なり」とし、(晨)を別の字とする。一般に経伝に晨・を同字として用いる。晨を房星の意とするのは、おそらく後起の義。晨は晶(星の象)に従って早晨の意。は辰()肉を両手で持つ形であるから、別義の字とみられ、肉を扱う儀礼に関する字であろう。農の初文は、その形に従う。金文の〔師鼎(ししんてい)〕の(しん)に従う形で、には震驚の意がある。・晨は別義異字であるから、晨と区別してここに録する。

[訓義]
1. あした、つとめて、あさ早く。
2. 本義は、肉をもつ儀礼であろう。

[部首]
〔説文〕に、〔玉〕に晨をの異文として加える。・晨の混淆は早い時期から起こっており、そのため同字とされたのであろう。

[語系]
・晨zjinは同声。〔説文〕は晨を房星とし、民の田時をなすものとして、農との関係を求めている。卜文に夙(しゆく)をに作り、その字形は辰肉を奉ずる形ともみえる。は〔説文〕七上に「早なり」とあり、農事の儀礼をいう字であろう。晨・にまた通用の義がある。

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

今日のキーワード

靡き

1 なびくこと。なびくぐあい。2 指物さしものの一。さおの先端を細く作って風にしなうようにしたもの。...

靡きの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android