精選版 日本国語大辞典 「晦・晦日」の意味・読み・例文・類語
つ‐ごもり【晦・晦日】
〘名〙
① 月の光が全く隠れて見えなくなること。〔名語記(1275)〕
※太平記(14C後)一一「是より龍駕を早められて晦日(ツゴモリ)は兵庫の福厳寺と云寺に儲餉の在所を点じて」
[語誌](1)語源として単純なキの音節の脱落による(ツキゴモリ→ツゴモリ)という説は、他に類例がなく極めて疑問。意味上対をなすツイタチと音節数の平衡性を保つためにキが脱落したという見方もあるが、上代の複合語形成の原則からは、ツキタチ・ツキゴモリよりもツクタチ・ツクゴモリの方が自然であり、従ってツクゴモリ→ツウゴモリ→ツゴモリという変化過程も考えられる。
(2)ツキコモリは興福寺本「日本霊異記」訓釈に見られ、天治本・享和本「新撰字鏡」にはツキコモリ・ツクコモリの両訓が見られるが、特にツクコモリの意味の限定は難しい。上代において、「ツク━」は「太陰」を表わし、「ツキ━」は暦日の「つき」を表わすという意義分化があった可能性もあり、意義の分裂に沿って語形の分裂が起こった可能性も否定できない。
(2)ツキコモリは興福寺本「日本霊異記」訓釈に見られ、天治本・享和本「新撰字鏡」にはツキコモリ・ツクコモリの両訓が見られるが、特にツクコモリの意味の限定は難しい。上代において、「ツク━」は「太陰」を表わし、「ツキ━」は暦日の「つき」を表わすという意義分化があった可能性もあり、意義の分裂に沿って語形の分裂が起こった可能性も否定できない。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報