デジタル大辞泉
「時つ風」の意味・読み・例文・類語
とき‐つ‐かぜ【時つ風】
[連語]
1 ほどよいころに吹く風。時節にかなった風。順風。
「―おだやかに吹て万民太平を楽しみ」〈露伴・寝耳鉄砲〉
2 潮の満ちる時刻になると吹く風。
「―吹くべくなりぬ香椎潟潮干の浦に玉藻刈りてな」〈万・九五八〉
[枕]時つ風が吹く意から、地名の「吹飯」にかかる。
「―吹飯の浜に出で居つつ贖ふ命は妹がためこそ」〈万・三二〇一〉
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ときつ【時つ】 風(かぜ)
時にかなった風。
① (「時」は時刻の意) 潮が満ちてくる時刻頃吹く風。その時になると吹く風。
※
万葉(8C後)二・二二〇「
なかの港ゆ 舟浮けて 吾が漕ぎくれば 時風
(ときつかぜ) 雲ゐに吹くに」
② (中世以降、「
論衡‐是応」の「太平之世、五日一風十日一雨」などの
語句を意識して、「時」を時節・
時候などの意に用い) その季節や時季にふさわしい風。
※
謡曲・
高砂(1430頃)「四海波静かにて国も治まる時つ風、枝も鳴らさぬみ代なれや」
③ (②の「謡曲・高砂」の語句から) 平和でありがたい世の中、
世間、あるいは快適な
風潮、
風習。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報