春採湖(読み)はるとりこ

日本歴史地名大系 「春採湖」の解説

春採湖
はるとりこ

釧路市南東部にある海跡湖湖岸延長四・六キロ、面積三・六平方キロ、最大水深六・二メートル(平均水深二・七メートル)。海側は千代ノ浦ちよのうら浜地が続く。当地一帯は近世ハルトルなどと記され、明治五年「いかり」「苧足糸おたいと」「春採はるとり」など七ヵ村を合せて釧路村が設置されたとされる(状況報文)。同六、七年頃、昆布森こんぶもり(現釧路町)のアイヌ六戸を釧路村春鳥はるとり・モシリヤに移住させたという(同報文)。同二四年二月釧路聖公会が春鳥にアイヌ人学校(主任教師ルーシー・ペイン)を開設(教区九十年史)。同三三年私立春採尋常小学校と改称。「状況報文」に「春鳥ハ春鳥湖ノ南ニ位シ、アイヌノ部落ニシテ、私立小学校、安田炭山アリ、和人モ亦其近傍ニ散在セリ」と記される。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「春採湖」の意味・わかりやすい解説

春採湖
はるとりこ

北海道南東部、釧路市(くしろし)にある海跡湖。周囲約6キロメートル、面積約3.7平方キロメートル、湖面標高2メートル、水深9メートル。周囲を天寧(てんねい)層の崖(がけ)で囲まれ、南西端の海との開口部も砂浜堤でふさがれている。湖岸が市街化して水の汚染が進み、国指定天然記念物ヒブナ生息が危ぶまれている。湖岸にはモシリヤ砦跡(もしりやちゃしあと)(国の史跡)や市立博物館がある。

[進藤賢一]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「春採湖」の意味・わかりやすい解説

春採湖
はるとりこ

北海道東部,釧路市にある海跡湖。面積 0.37km2。最大深度 9m。湖面標高 2m。周囲を海岸段丘で囲まれ,水質特異性で知られる。深度 3m以下では湖水が循環せず,海水に近い高鹹水 (かんすい塩分を含む水) のまま停滞し,硫化水素が現れる。周囲の市街地化,炭鉱開発に伴って湖が縮小し,天然記念物ヒブナも幻の魚になった。湖岸には春採公園鶴ヶ岱チャランケ砦跡 (史跡) がある。

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デジタル大辞泉プラス 「春採湖」の解説

春採湖

北海道釧路市の市街地にある海跡湖。面積約0.38平方キロメートル。春採川を通じて太平洋と繋がる汽水湖で、ヒブナの生息地として国の天然記念物に指定されている。周辺は春採公園として整備されている。

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