春慶(読み)しゅんけい

精選版 日本国語大辞典 「春慶」の意味・読み・例文・類語

しゅんけい【春慶】

[1]
[一] 鎌倉時代陶工加藤景正の号。
[二] 和泉国(大阪府)堺の漆塗り職人。後亀山天皇の頃の人という。春慶塗の創始者。
[三] 室町時代仏師。奈良椿井に住み、椿井舜覚坊春慶と称した。長祿三年(一四五九)から明応五年(一四九六)の間に法隆寺宝珠院、大乗院、元興寺(がんごうじ)金堂長谷寺などの造像従事。法眼に叙せられる。明応八年(一四九九)没。
[2] 〘名〙
洒落本・龍虎問答(1779)「枕も春慶(シュンケイ)のはげたるに」
松屋会記‐久重茶会記・寛永一四年(1637)一〇月五日「春慶に加様の手も御座候かと云ば」

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デジタル大辞泉 「春慶」の意味・読み・例文・類語

しゅんけい【春慶】


室町時代の漆工和泉いずみ堺の人。春慶塗を創始。生没年未詳。
鎌倉時代の尾張国瀬戸の陶工、加藤景正法号

春慶塗」の略。
春慶焼」の略。

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朝日日本歴史人物事典 「春慶」の解説

春慶

生年:生没年不詳
和泉国堺(堺市)の漆工。応永年間(1394~1428)の人といわれるが確証に乏しい。『松屋会記』永禄11(1568)年2月16日によれば松屋久政は春慶から茶の湯に招かれており,春慶が堺の住人で茶入を焼かせたり天目台の作者と記している。また初期の茶道指南書『分類草人木』(1564刊)の筆者である堺の茶人直松斎春渓が春慶に広まりと同一人物ともみられる。春慶塗は木地柿渋や蘇芳などの下塗りをした上に透漆を塗り木目の美しさをみせる技法で,春慶が創始した技法と伝える。後世全国堺春慶,飛騨春慶,能代春慶などがある。<参考文献>黒川真頼『工芸志料』

(小池富雄)

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