春の海(読み)ハルノウミ

デジタル大辞泉 「春の海」の意味・読み・例文・類語

はるのうみ【春の海】

新日本音楽の一。そう尺八二重奏曲。昭和4年(1929)宮城道雄歌会始うたかいはじめ勅題海辺巌かいへんのいわお」にちなんで作曲。春の海ののどかな情景を描写した標題音楽で、宮城代表作とされる。

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精選版 日本国語大辞典 「春の海」の意味・読み・例文・類語

はるのうみ【春の海】

新邦楽曲名。昭和四年(一九二九)一二月、宮城道雄が翌年歌会始の勅題「海辺の巖(いわお)」にちなんで作曲。箏と尺八の二重奏曲。春の海ののどかなさまを表わす。フランスのシュメー(Renée Chemet)女史が尺八のパートバイオリン編曲したことで有名。宮城の代表作。

はる【春】 の 海(うみ)

春の陽光を受けた、のどかな海。《季・春》
※再昌草‐天文四年(1535)三月九日「春の海の雲井はるかにみそめては世になき花の色香成けり」

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改訂新版 世界大百科事典 「春の海」の意味・わかりやすい解説

春の海 (はるのうみ)

宮城道雄作曲の箏と尺八の二重奏曲。1929年に,翌年の勅題〈海辺巌(かいへんのいわお)〉にちなんで作曲された。日本音階による美しい旋律を用い,いかにものどかな春の海を感じさせる情景描写に優れた曲である。邦楽洋楽の別を超えて非常によく親しまれ,原編成以外に,33年来日のフランスの女流バイオリン奏者シュメRenée Chemetの編曲以来バイオリンと箏の二重奏もほとんど定型化し,フルートハープはもちろんのこと,オーケストラジャズまで含めた多様な編曲で演奏される。さらにCMやムード音楽にも広く利用されて,近代の日本の作曲中最も有名な曲になっている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「春の海」の意味・わかりやすい解説

春の海
はるのうみ

宮城道雄(みやぎみちお)作曲の新日本音楽。1929年(昭和4)歌会始(うたかいはじめ)の勅題「海辺巌(かいへんいわお)」にちなんでつくられたもので、かつて瀬戸内海を船で旅したときの印象に、波の音や鳥の声、漁師の舟唄(ふなうた)などを素材にまとめられた。箏と尺八の二重奏曲だが、32年に来日したフランスの女流バイオリン奏者ルネ・シュメーが尺八の部分をバイオリンに編曲、作曲者の箏でレコード化してベストセラーになり、以後、世界的に知られるに至った。

[茂手木潔子]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「春の海」の意味・わかりやすい解説

春の海
はるのうみ

日本音楽の曲名。宮城道雄作曲。 1930年宮中新年御歌会の勅題「海辺の巌」にちなんで,29年作曲。箏と尺八の二重奏。 32年尺八のパートをルネ・シュメーがバイオリンに編曲,作曲者と重奏してから,国際的に有名となり,55年作曲者と I.スターンとの重奏や,A.コステラネッツ指揮のニューヨーク・フィルハーモニックと唯是震一 (ゆいぜしんいち) の箏との演奏など,海外でもしばしば取上げられている。

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百科事典マイペディア 「春の海」の意味・わかりやすい解説

春の海【はるのうみ】

宮城道雄作曲による箏と尺八の二重奏曲。1929年作。勅題《海辺巌》にちなむ。のどかな海を描写した一種の標題音楽。宮城道雄の代表作の一つ。

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