映画学校(読み)えいががっこう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「映画学校」の意味・わかりやすい解説

映画学校
えいががっこう

映画製作に関する実技教育と、映画史や映画理論など学術的側面からの映画教育を専門とする機関。映画に特化した大学だけでなく、総合大学のなかの映画に関する学部学科専攻科、専門学校をさす場合もある。カリキュラムは映画製作の実技教育を主とするもの、映画研究を主とするもの、製作と研究の両方を学ぶものがあり、学校によって異なる。代表的な映画学校としては、1919年に創立された世界初の国立の映画学校を前身とするロシアのロシア国立映画大学(VGIK)、1935年創立の映画実験センターを前身とするイタリアの国立映画学校(SNC)、1943年創設の映画高等学院(IDHEC)を前身とするフランスの国立高等映像音響学校(La Fémis)、1956年創立の北京(ペキン)電影学校を前身とする中国の北京電影学院、アメリカのカリフォルニア大学ロサンゼルス校UCLA)、南カリフォルニア大学(USC)、ニューヨーク大学(NYU)の各映画専攻科などがある。日本では、映画の単科大学としては日本映画大学、映画や映像の学部や学科、専攻科をもつ大学としては、日本大学芸術学部、東京造形大学東京工芸大学武蔵野美術大学、大阪芸術大学、京都造形大学、立命館大学東北芸術工科大学、東京芸術大学大学院などがある。映画産業が活発な時代には撮影所が映画教育の場として機能していたため、映画学校という機関があえて必要とされることは少なかったが、撮影所システムの凋落(ちょうらく)とともに、大学や専門学校の枠組みのなかに映画教育の場が移り、映画学校が増加、映画産業に占める映画学校出身者の割合も増えていった。映画を研究の対象にすることもしだいに一般化して、関連する学科やコースが新設されるようになった。なお、1990年代以降は、デジタル技術の進歩と多様な映像コンテンツの広がりに対応して、映画に限らず広く映像に関する技術や知識を教える機関が増えている。

[伊津野知多]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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