星室庁(読み)せいしつちょう(英語表記)Court of Star Chamber

精選版 日本国語大辞典 「星室庁」の意味・読み・例文・類語

せいしつ‐ちょう ‥チャウ【星室庁】

〘名〙 (Court of Star Chamber の訳語) イギリス絶対主義期の司法機関。一四八七年、ヘンリー七世のときに設立。王の顧問官ウエストミンスター宮殿の「星の間」で刑事特別裁判を行なったところからこの名が生じた。一六四一年廃止星法院星室裁判所

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デジタル大辞泉 「星室庁」の意味・読み・例文・類語

せいしつ‐ちょう〔‐チヤウ〕【星室庁】

Court of Star Chamber英国ウエストミンスター宮殿の「星の間」で開かれた刑事特別裁判所中世起源をもつが、1487年、ヘンリー7世によって明確化され、一般の裁判所の扱えない事件を審理した。のち国王の政敵弾圧機関と化し、1641年廃止。星法院。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「星室庁」の意味・わかりやすい解説

星室庁
せいしつちょう
Court of Star Chamber

イギリス、ウェストミンスター宮殿の「星室」(天井に星の装飾があったところから名づけられた)で開かれた、国王大権裁判所。スター・チェンバーともよばれる。複雑な法的手続を要する各種のコモン・ロー裁判所が対処しえない事件を処理するために、15世紀末から国王評議会の裁判権に基づいて開かれるようになった。治安を乱す行為、陪審員贈収賄などを管轄事項として、チューダー朝に入って盛んに開かれたが、スチュアート朝においては国王専制の政策を遂行するための道具として濫用され、ことに政敵やピューリタンに対して拷問をはじめとする過酷な刑罰を課して悪評を買い、ピューリタン革命期の1641年、長期議会によって廃止された。

[今井 宏]

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旺文社世界史事典 三訂版 「星室庁」の解説

星室庁
せいしつちょう
Court of Star Chamber

イギリスのウェストミンスター宮殿の星の間で開かれた特別刑事裁判所
大法官以下数人の裁判官が,普通の裁判所では公平を期しえないような身分の高い者の関係する刑事事件を審理する目的で,1487年ヘンリ7世が創設。1540年にその機能を完全に発揮するようになり,しだいに権限を拡張,テューダー朝およびステュアート朝の絶対王政の専制支配の具とされた。1641年長期議会により廃止。

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