易融合金(読み)イユウゴウキン(英語表記)fusible alloy

デジタル大辞泉 「易融合金」の意味・読み・例文・類語

いゆう‐ごうきん〔‐ガフキン〕【易融合金】

すず・鉛・ビスマスカドミウムなどを主成分とする融点の低い合金。火災報知器・ヒューズなどに使用可融合金低融点合金

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精選版 日本国語大辞典 「易融合金」の意味・読み・例文・類語

いゆう‐ごうきん ‥ガフキン【易融合金】

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改訂新版 世界大百科事典 「易融合金」の意味・わかりやすい解説

易融合金 (いゆうごうきん)
fusible alloy

スズよりも融点が低く(スズの融点は232℃で,金属の中では水銀に次いで低い),室温では固体である合金。可融合金と呼ばれることもある。これらは,ビスマスBi,鉛Pb,スズSn,カドミウムCdなどの多元合金であって,ビスマスを主成分としたものが多い。Pb-Bi-Cd,Pb-Bi-Sn,Sn-Bi-Cdの各三元共晶点はそれぞれ91.5℃,95℃,103℃であり,これら4元素の四元共晶点は70℃である。さらにインジウムInや水銀Hgを加えると,より融点の低いものもできる。易融合金は,火災報知器の温度検出部,電気回路のヒューズスプリンクラーの放水口のおさえ,薄肉パイプの曲げ加工に使用するフィラーメタル(充てん材),精密鋳造の模型などに使用される。ウッド合金はBi-Cd-Pb-Sn四元合金の代表的なものである。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「易融合金」の意味・わかりやすい解説

易融合金
いゆうごうきん
fusible metal

融点の低い合金の総称で、低融点合金あるいは可融合金などともいう。融点の上限をどこに置くかはあまり明瞭(めいりょう)でなく、鉛(融点327℃)あるいはスズ(融点232℃)とすることもある。その場合には普通のはんだ活字合金も含まれる。一般にはビスマス、スズ、鉛、カドミウムなどを主体とした融点約200℃以下の多成分合金を易融合金という。融点が100℃以下のものにはローゼ合金(融点100℃)、ニュートン合金(融点95℃)、ウッド合金(融点65℃)、リポビッツ合金(融点72℃、46.5℃)などがある。火災用スプリンクラーや高温高圧容器などの安全弁、ヒューズに用いられる。そのほか、薄肉管の曲げ加工用充填(じゅうてん)材など多方面で使用されている。

[及川 洪・原善四郎]

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百科事典マイペディア 「易融合金」の意味・わかりやすい解説

易融合金【いゆうごうきん】

可融合金,低融点合金とも。スズの融点232℃より低融点の合金の総称。ビスマスを主成分としスズ・鉛・カドミウムを加えたもので種類が多い。ウッド合金が代表的。ほか一例を示すと,ビスマス50%,鉛28%,スズ22%のローゼ合金は融点100℃。電気ヒューズ,安全弁などに使用。
→関連項目ヒューズ

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「易融合金」の意味・わかりやすい解説

易融合金
いゆうごうきん
fusible alloys

ビスマスを主成分とし,鉛,スズ,カドミウム,インジウムなどを加えた低融点合金。共晶の低融点を利用してそれに近い組成としたものが多い。低融点特性を利用する場合,ボイラ安全栓,防火扉支持金具などでは長期にわたり力がかかるので耐クリープ性が必要であるし,融解の開始終結に温度差のある材料では作動点に注意しなければならない。上記用途のほか自動消火栓,火災報知機,電気ヒューズ,熱浴剤,また一般にビスマス合金は凝固収縮による寸法の狂いが小さいのでインベストメント鋳造のワックス型製造用金型にも用いられる。種類は非常に多い。

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