早発月経/遅発月経(読み)そうはつげっけいちはつげっけい(英語表記)Premature Menstruation / Delayed Menstruation

家庭医学館 「早発月経/遅発月経」の解説

そうはつげっけいちはつげっけい【早発月経/遅発月経 Premature Menstruation / Delayed Menstruation】

[どんな病気か]
 早発月経とは、10歳未満に初経(しょけい)(初めての月経)がみられることをいい、遅発月経とは、16歳から18歳の間に初経がみられることをいいます。
[原因]
 月経は、視床下部(ししょうかぶ)と下垂体(かすいたい)(ともに脳にあります)が卵巣(らんそう)を刺激し、それによって卵巣から分泌(ぶんぴつ)される女性ホルモンが、子宮にはたらきかけておこる出血です。
 早発月経は、卵巣からの女性ホルモンがふつうより早く過剰に分泌されたためにおこるもので、それには2つの原因があります。1つは、視床下部と下垂体が早期に活動を開始して卵巣を刺激したために、女性ホルモンが早くから分泌された場合で、これが、早発月経の原因の60~80%を占めます。
 もう1つは、卵巣自体の異常(腫瘍(しゅよう)や過形成(かけいせい)など)により、女性ホルモンが早期から過剰に分泌された場合です。
 一方、遅発月経の原因は、卵巣からの女性ホルモンの分泌が年齢に応じて増加しないためで、増加しない理由にはつぎの2つがあります。1つは、視床下部や下垂体からの刺激が弱いために、卵巣からの女性ホルモンの分泌が増加しない場合で、遅発月経の原因の大部分を占めます。ほかに、慢性疾患(心疾患、腎(じん)疾患、内分泌(ないぶんぴつ)疾患、精神疾患など)が原因となることもあります。遅発月経になるもう1つの原因は、卵巣自体に異常があるために、女性ホルモンの分泌が増加しない場合です。
[症状]
 早発月経では、第二次性徴(だいにじせいちょう)(乳房発育・陰毛(いんもう)発生など)が通常より早く現われたり、性機能の早熟にともなう異常行動(粗暴な行動、異常な性的関心など)、低身長(女性ホルモンが早くから過剰に分泌することで、骨の成長がふつうより早く始まり、最初は高身長となります。しかし、骨の成長の終わりも早いため、最終的には低身長になります)などがみられます。
 遅発月経の場合は、第二次性徴が現われるのが遅れます。
[検査と診断]
 早発月経では、問診視診、基礎体温測定、血液検査(ホルモン検査、卵巣腫瘍の検査など)、X線検査(骨年齢の測定)などを行ない、場合によっては、超音波検査、CTスキャンやMRIなどによる卵巣腫瘍や脳腫瘍の検査も行ないます。
 遅発月経では、問診、視診(外陰部の形態異常など)、基礎体温測定、血液検査、場合により染色体検査や慢性疾患の検査などを行ないます。
[治療]
 早発月経では、視床下部や下垂体からの刺激を抑制します。たとえば、GnRHアナログという薬剤を使う(点鼻法(てんびほう)や皮下ひか)注射法で)と、女性ホルモンの分泌が抑えられ、骨の早期成熟を抑制します。その他酢酸(さくさん)シプロテロンを内服する方法もあります。卵巣自体に異常(腫瘍や過形成など)があるときは、それを治療します。
 遅発月経では、慢性疾患があれば治療し、ない場合には、症状によってカウフマン療法(コラム「無月経治療のためのホルモン補充療法」)や、排卵誘発法の1つであるクロミフェン療法を行ない、第二次性徴を促進させます。

出典 小学館家庭医学館について 情報

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