早田(読み)わささだ

精選版 日本国語大辞典 「早田」の意味・読み・例文・類語

わささ‐だ【早田】

※虎明本狂言・角水(室町末‐近世初)「いつもうへとうへ、早田(ワササダ)べいを、十俵、御年貢にささぐる」

はや‐た【早田】

はやた【早田】

(「はやだ」とも) 姓氏一つ

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改訂新版 世界大百科事典 「早田」の意味・わかりやすい解説

早田 (そうでん)

早熟の稲を植えた田をいう。早稲田わせだ)のこと。〈はやた〉ともいう。《日葡辞書》には〈早く植えつけられた田,または,初めに刈り取られる田〉とある。また《名語記》によれば〈早田をわせとなつく〉とある。奈良時代には,すでに熟期によって早稲晩稲おくて)の区別があり,《万葉集》には〈早田〉〈早稲〉の語が見えている。平安時代になると,さらに中間の〈なかて(中稲)〉が現れた。早稲を作付けするのが早田,中稲をつくるのは中田(なかだ),晩稲をつくるのが晩田(おくてだ)と呼ばれた。12世紀初頭には,一郡全体が早田であるという例もあり,また讃岐国善通寺・曼荼羅寺領の免田も4割が早田であった。鎌倉時代以降も,中世では水田における早田の比重はかなり高かったとみられる。早・中・晩田の区別によって,地域の自然条件に適した作付けが可能になり,自然災害の被害を分散させ,被害を少なくできるようになった。とくに収穫期の早い早田は,季節的に干害風水害などを受けにくい点で有利であった。
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世界大百科事典(旧版)内の早田の言及

【早田】より

…《日葡辞書》には〈早く植えつけられた田,または,初めに刈り取られる田〉とある。また《名語記》によれば〈早田をわせとなつく〉とある。奈良時代には,すでに熟期によって早稲と晩稲(おくて)の区別があり,《万葉集》には〈早田〉〈早稲〉の語が見えている。…

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