早月川(読み)はやつきがわ

日本歴史地名大系 「早月川」の解説

早月川
はやつきがわ

富山県の東部、中新川なかにいかわ上市かみいち町東部から魚津市滑川市の境界を北西流して富山湾に注ぐ二級河川。早槻川とも記す。つるぎ岳を源とする白萩しらはぎ川が早月尾根の北側でブナクラ谷の水を合せて西流し、上市馬場島ばんばじま付近で早月尾根南側を流れてきた立山川を合流、さらに大日だいにち尾根北斜面の水を集めた小又おまた川を合せて早月川となる。流域面積一三四平方キロ、流長約三七キロ。平均勾配は八・三パーセントで、片貝かたかい川とともに日本有数の急流として知られる。古くは延槻はいつき川とよばれており、「万葉集」巻一七には天平二〇年(七四八)の春に出挙のため諸郡巡行した越中守大伴家持が詠んだ「立山の雪し消らしも延槻の川の渡瀬鐙浸かすも」の歌が載り、家持は立山の雪解けのため増水した延槻川を馬の鐙まで水に浸って渡ったという。なお「消らしも」には「来らしも」と読む説もある。この川から仰ぐ劔岳壮観は圧倒的で、鎌倉期の歌学書「八雲御抄」の立山の説明に「はひつきの川近」と記されている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「早月川」の意味・わかりやすい解説

早月川
はやつきがわ

富山県東部を流れる川。全長 27km。立山連峰剱岳に源を発して北西流し,下流部では魚津市滑川市の市境となって富山湾に注ぐ。山間部では両岸河岸段丘を,下流部では扇状地を形成している。扇状地面は浅耕土で水田地帯となっている。流域に早月川第一発電所,早月川第二発電所などがある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「早月川」の意味・わかりやすい解説

早月川
はやつきがわ

富山県東部を北流して富山湾に注ぐ川。北アルプスの剱(つるぎ)岳に発する白萩(しらはぎ)川、立山(たてやま)川、小又(おまた)川が上市(かみいち)町馬場島(ばんばじま)で合流して早月川となる。左岸段丘を形成し、上市町伊折(いおり)を過ぎると川幅を広げ両岸に段丘をつくり、右岸から小早月川をあわせ、扇状地を形成して、滑川(なめりかわ)・魚津(うおづ)両市の境界で富山湾に注ぐ。延長27キロメートル。片貝川とともに日本ではもっとも平均勾配(こうばい)の大きい急流として知られる。流れ込み水路式の発電所が九つあり、最大出力は6万2000キロワット。

[深井三郎]

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