精選版 日本国語大辞典 「旨・甘・味・美」の意味・読み・例文・類語
うま・い【旨・甘・味・美】
〘形口〙 うま・し 〘形ク〙 (平安以降には「むまし」とも表記)
① 味覚・感覚を満足させるような快い味わいについていう。味がよい。おいしい。美味である。また、よい香りである。
※万葉(8C後)一六・三八五七「飯(いひ)喫(は)めど 味(うまく)もあらず 行き行けど 安くもあらず」
※蘇悉地羯羅経承保元年点(1074)「諸菓の其の味次に美(ムマク)して」
※夢酔独言(1843)「『麁末(そまつ)だが御ぜんをくへ』とて、いろいろうまいものを出したが」
② ものごとの状態が不足なく十分である。十分だ。完全だ。満足だ。
※大智度論天安二年点(858)八七「熟(ウマク)諸の苦悩を受けず」
③ 事の運び方にぬかりがない。技術がすぐれて巧みだ。巧妙だ。じょうずだ。
※書紀(720)欽明二年七月(寛文版訓)「夫れ新羅甘(ムマク)言(い)ひて希(めづら)しく誑(あざむ)くことは、天の下の知れる所なり」
※仮名草子・都風俗鑑(1681)三「狂言の恋路にうまひあぢをつくせば」
④ ある事態や事のなりゆきが、当事者にとって都合がよい。ぐあいがよい。よい状態だ。好都合だ。得だ。
※浄瑠璃・国性爺合戦(1715)一「ヤアうまひ所へ出合ふたな」
※不思議な鏡(1912)〈森鴎外〉一「さう旨(ウマ)くは行かない」
⑤ (男女の仲について) 親密な関係だ。よい仲である。情を通じる。
※浮世草子・好色五人女(1686)一「人めせはしき宿なれば、うまひ事は成がたく、しんいを互に燃やし、両方恋にせめられ」
※浄瑠璃・義経千本桜(1747)三「わりゃ彌助とうまい事して居るそふなが」
⑥ (「あまい」を①の中で代表的なものとしたところから転じて) ぴりっとしたところのない、まのぬけた様子をいう。まぬけだ。お人よしだ。締まりがない。あまい。
⑦ (③④などから逆説的に) みっともなく具合の悪い様子をいう。
うま‐が・る
〘自ラ五(四)〙
うま‐げ
〘形動〙
うま‐さ
〘名〙
うま‐み
〘名〙
うま・し【旨・甘・味・美】
〘形ク〙 ⇒うまい(旨)
むま・い【旨・甘・味・美】
〘形口〙 ⇒うまい(旨)
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