普及版 字通 「旨(漢字)」の読み・字形・画数・意味
旨
常用漢字 6画
[字訓] うまい・むね
[説文解字]
[金文]
[字形] 会意
氏+曰(えつ)。曰は器中にものを収めた形。氏は把手のある小刀の形で、氏族共のときに用い、のち氏族の意となる。器中のものを、この小刀で切って食することをいい、美旨の意となる。〔説文〕五上に「美(うま)し」とし、「甘に從ひ、匕(ひ)聲」とするが声が合わず、また甘匕とするのも字形に合わない。甘は拑入(かんにゆう)の象で、旨とは関係がない。金文には斉器の〔国差(こくさたん)〕に「以て旨酒を實(みた)す」とあり、もと神に供するものなどに用いる語であった。
[訓義]
1. うまい、味がよい、うまいもの、よい。
2. むね、おもむき、こころ、わけ。
3. 天子の仰せ、おぼしめし。
4. 命令、命令の趣旨。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕旨 ムネ・アマシ・ムマシ・サス・ヨシ・ココロ・ココロザシ
[部首]
〔説文〕〔玉〕に嘗をこの部に属する。〔漢書、礼楽志〕に「百鬼(もつ)て嘗す」とあるように、嘗は鬼神に供することを原義とする字。神嘗(かんなめ)・新嘗(にいなめ)とは、神が用いて旨しとする意である。
[声系]
〔説文〕に旨声として詣・脂・稽・耆・・指など十二字を収める。このうち詣・稽・は声系を異にする字で、もと別系。詣の初文は旨(けい)。その旨は、祝の器(曰)に対して、神霊が上より降下する象。その霊を拝するを(けい)といい、金文に「稽首」の字にを用いる。稽はのちの形声の字である。
[語系]
旨・指・tjieiは同声。旨は旨肉。脂のよくのった肉である。旨肉を撮(と)るものを指、神意にかなうことをという。〔管子、侈靡〕に「天の指に承從す」とあるのは意。指・は旨の声義を承ける字である。
[熟語]
旨意▶・旨遠▶・旨嘉▶・旨甘▶・旨帰▶・旨麾▶・旨義▶・旨遣▶・旨肴▶・旨告▶・旨示▶・旨酒▶・旨趣▶・旨信▶・旨蓄▶・旨通▶・旨統▶・旨味▶・旨問▶・旨要▶
[下接語]
違旨・遺旨・懿旨・叡旨・遠旨・奥旨・恩旨・雅旨・玄旨・厳旨・高旨・告旨・滋旨・辞旨・慈旨・主旨・殊旨・酒旨・趣旨・称旨・詔旨・上旨・情旨・縟旨・心旨・垂旨・清旨・聖旨・宣旨・宗旨・大旨・達旨・朝旨・勅旨・天旨・特旨・内旨・微旨・風旨・芳旨・本旨・妙旨・輸旨・幽旨・優旨・要旨・来旨・綸旨・令旨・論旨
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報