日高(読み)ひだか

精選版 日本国語大辞典 「日高」の意味・読み・例文・類語

ひ‐だか【日高】

[1] 〘名〙 (形動) 日のまだ高いこと。また、そのさま。まだ明るいうち。日中。
※狂歌・三斎様御筆狂歌(1590)「あらあつやしめぢが原のさしも草ひだかにつきぬかうかうのさと」
[2]
[一] 北海道一一か国の一つ。明治二年(一八六九)成立。日高山脈西側の斜面を占め、太平洋に面する。同三〇年支庁制の施行により浦河支庁に所属。
[二] 北海道一四支庁の一つ。昭和七年(一九三二)浦河支庁が改称成立。七郡から成り、旧日高国を占める。全国一の競走馬産地。支庁所在地は浦河町
[三] 埼玉県中南部の地名。秩父山地の東麓、高麗(こま)川の谷口にある。霊亀二年(七一六)高麗人一七九九人が移住した高麗郷の地。江戸時代は市場町として栄えた。高麗神社、聖天(しょうでん)院がある。平成三年(一九九一)市制。

ひ‐だか・い【日高】

〘形口〙 ひたか・し 〘形ク〙 日が高い。昼の盛りである。〔観智院本名義抄(1241)〕

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デジタル大辞泉 「日高」の意味・読み・例文・類語

ひだか【日高】[地名]

北海道の旧国名。現在の日高振興局管内に相当する地域。
北海道中南部の振興局日高山脈の西側を占め太平洋に面する。局所在地は浦河町
埼玉県中南部の市。古代に渡来人が入植して高麗郡を置いた地で、中世は高麗氏の所領。高麗神社がある。住宅地化が進む。平成3年(1991)市制。人口5.8万(2010)。

ひ‐だか【日高】

まだ日の高い時分。日中。
「いかなる旅人も―に泊り、曙を急がず」〈浮・一代男・二〉

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改訂新版 世界大百科事典 「日高」の意味・わかりやすい解説

日高[町] (ひだか)

北海道南部,日高支庁沙流(さる)郡の町。2006年3月旧日高町と門別(もんべつ)町が合体して成立した。間に平取(びらとり)町が入る飛び地合併である。人口1万3615(2010)。

日高町北部の旧町。日高支庁沙流郡所属。人口2095(2005)。沙流川上流の日高山脈中にある山村。1905年岩手県人がはじめて入植し,その後林業中心の開発が進められた。沙流川とその支流に沿って集落が形成され,国道237号線が通り,274号線(日勝道路)を分岐する。良質の木材を産し,野菜栽培,肉牛と豚の飼育が行われる。また,十勝郡清水町へ抜ける日勝道路は沙流川沿いを走り,日勝峠をこえ,日高山脈の自然美を眺められるルートとして注目され,年々観光客が増加している。沙流川最上流部一帯は沙流川源流原始林(天)におおわれ,国道沿いに北海道の冷温帯上部の代表的原始林が見られる。

日高町南部の旧町で。太平洋岸にある。日高支庁沙流郡所属。人口1万2635(2005)。地名はアイヌ語に由来し,〈静かな川〉の意とされている。日高山脈南西麓に位置し,山地が町域の大半を占める。市街地は沙流川河口の富川,門別川河口の門別,厚別川河口の厚賀(あつが)にあり,JR日高本線,国道235号,237号線が通じる。中心は門別であるが,近年は国道の分岐点の富川が発展している。江戸時代に沙流場所が開かれ,1870年(明治3)仙台・彦根両藩からの集団入植があって開拓が進んだ。各河川の流域に水田が開け,稲作が行われるほか,傾斜地で酪農,軽種馬生産が盛んである。木材を多産し,木材加工,乳製品,食品加工の工場などがある。沙流川ではシシャモを産するが,近年は漁獲量が減り,人工孵化が行われている。毎年10月にはシシャモ祭が開かれる。
執筆者:

日高[市] (ひだか)

埼玉県南部の市。人口5万7473(2010)。1991年市制。秩父山地の東縁から入間台地にかけての一帯を占め,高麗(こま)川が北東に流れる。南と西は飯能市に接する。716年(霊亀2),駿河以東7ヵ国の高麗人が武蔵に移住して設置された,高麗郡の中心地という。高麗川の谷口集落高麗本郷は江戸時代初期から市場町として発達したが,のち飯能と競合して商圏を奪われた。畑地が多く,かつては養蚕を中心としたが,現在は野菜づくりと養鶏が行われている。JRの八高線と川越線が接続する高麗川駅付近の台地にはセメント工場がある。西武池袋線も通じ,交通が便利なため1960年代後半から人口が増加し,台地や丘陵を切り開いて,日本住宅公団の高荻・こま川団地,東急のこま武蔵台団地,西武飯能日高団地などが造成され,70~95年に人口は4.4倍に激増した。渡来人の王,若光をまつった高麗神社や若光の墓がある聖天院(高麗山勝楽寺)などの史跡がある。高麗村石器時代住居跡は国指定史跡。
執筆者:

日高[村] (ひだか)

高知県中央部,高岡郡の村。人口5447(2010)。仁淀川中流南岸に位置し,南は土佐市に接する。北部と南部は石灰岩山地で占められ,中央部を東流する日下(くさか)川が村の東端で仁淀川に合流する。日下川流域は低湿で生産性は低く,米作も行われるが畑地での野菜,ミカン,茶の栽培や畜産が盛ん。下分(しもぶん)の奥の谷に,戦国期日下の領主であった三宮氏の葛掛(くずかけ)城跡がある。小村(おむら)神社は土佐の二宮とされた古社で,神体の金銅装環頭大刀(国宝)は古墳時代後期のものとされる。神宮寺での来迎会に用いられたとみられる菩薩面3面も蔵する。本郷に金明孟宗竹の竹林があり,猿田には鍾乳洞がある。日下川に沿ってJR土讃線と国道33号線が通じる。
執筆者:

日高[町] (ひだか)

和歌山県西端,日高郡の町。人口7432(2010)。紀伊山地西縁の白馬(しらま)山脈の末端が町域の大部分を占め,中央を流れる日高川支流の西川沿いに,御坊平野北西端の低地が開ける。紀伊水道に面した沿岸部での漁業と,御坊平野の米作,野菜栽培を主とする農業が基幹産業で,阿尾には漁港があり,きんちゃく網漁業が盛ん。また山間部ではミカン栽培が行われる。リアス式海岸をなす海岸部一帯は煙樹海岸県立自然公園に含まれる。JR紀勢本線,国道42号線が通じる。
執筆者:

日高(兵庫) (ひだか)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「日高」の意味・わかりやすい解説

日高
ひだか

兵庫県中北部、城崎郡(きのさきぐん)にあった旧町名(日高町(ちょう))。現在は豊岡(とよおか)市の南西部を占める一地区。1925年(大正14)町制施行。1955年(昭和30)日高町は国府(こくぶ)、八代(やしろ)、三方(みかた)、西気(にしき)、清滝(きよたき)の5村と合併。2005年(平成17)豊岡市に合併。円山(まるやま)川とその支流稲葉川の流域で、円山川に沿ってJR山陰本線と国道312号、482号が南北に走る。旧町域北東部にコウノトリ但馬(たじま)空港(コミューター空港)がある。国府、国分寺の所在地で古代但馬の政治、文化の中心地であった。高原野菜、ブロイラー飼育は全国有数で、畳床、木製品、食料品の生産も活発。西部の山地は氷ノ山後山那岐山国定公園(ひょうのせんうしろやまなぎさんこくていこうえん)域で、関西一のスキー場を誇る神鍋(かんなべ)高原、紅葉の阿瀬渓谷がある。

[大槻 守]

『『日高町史』全3巻(1976~1983・日高町)』


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「日高」の意味・わかりやすい解説

日高
ひだか

兵庫県北部,豊岡市南西部の旧町域。円山川中流域と支流稲葉川,八代川の流域にある。 1925年町制。 1955年国府村,八代村,三方村,西気村,清滝村の5村と合体。 2005年豊岡市,城崎町,竹野町,出石町,但東町の1市4町と合体して豊岡市となった。北部の JR山陰本線国府駅付近は奈良時代,但馬国府が置かれたところで,かつての但馬の中心。農業が主で,ブロイラーの生産で有名。中心集落の江原に製糸,製鋼の近代工場がある。西部の神鍋山一帯の高原は関西有数のスキー場として知られ,但馬山岳県立自然公園に属する。旧大岡寺庭園は名勝,但馬国分寺跡は史跡に指定。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「日高」の解説

日高 にちこう

1257-1314 鎌倉時代の僧。
正嘉(しょうか)元年生まれ。大田乗明(じょうみょう)の子といわれる。甲斐(かい)身延(みのぶ)山で日蓮に師事し,永仁(えいにん)7年下総(しもうさ)中山(千葉県)法華経(ほけきょう)寺の住持となる。のち本妙寺を創建して両山一主制をはじめ,また千葉氏の援助をえて教団の経済基盤の確立と寺院体制の整備をすすめた。正和(しょうわ)3年4月26日死去。58歳。下総中山出身。通称は帥公(そつこう)。著作に「置文」「申状」。

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世界大百科事典(旧版)内の日高の言及

【埼玉[県]】より

埼玉(さきたま)古墳群一帯(行田市)は史跡公園さきたま風土記の丘として整備された。(3)奥武蔵地域 飯能(はんのう)市と日高市のほか周辺町村からなるこの地域は,比企丘陵から外秩父山地にまたがり,ゴルフ場が各地にあり,休日にはゴルファーで賑わっている。近世に起源をもつ名栗(なぐり)川の西川林業(杉),飯能市の裏絹,都幾川(ときがわ)村の建具,小川町の和紙などの地場産業で知られているが,平たん地が少ないため農業生産は不振で,都市化も遅れていた。…

【高萩新宿】より

…埼玉県南部,日高市の地名。1583年(天正11)11月10日,〈定市之法度〉と題する虎印判状が高萩新宿あてに出された。…

※「日高」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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