日米安保共同宣言(読み)にちべいあんぽきょうどうせんげん

知恵蔵 「日米安保共同宣言」の解説

日米安保共同宣言

1996年4月17日、東京で開催された日米首脳会談(橋本龍太郎首相・クリントン大統領)で発表された「日米安全保障条約共同宣言」。共同宣言は、冷戦終結後の安全保障・同盟の変質に対応しようとしたもの。内容は、(1)日米安保条約に基づく同盟関係が21世紀に向けてアジア太平洋地域の安定にとっての基礎であること、(2)米軍プレゼンスの維持が同地域の安定にとり不可欠であり、「日本における現在の水準を含め、この地域において、約10万人の前方展開軍事要員からなる現在の兵力構成を維持すること」を確認し、(3)95年秋以来の懸案であった沖縄の米軍基地に関しては、「日米安保条約の目的との調和を図りつつ、米軍の施設及び区域を整理し、統合し、縮小するための必要な方策を実施する決意」を表明した。97年9月には日米は「新しい日米防衛協力のための指針」(新ガイドライン)で合意し、橋本政権は98年4月、周辺事態法、改正自衛隊法、改正日米物品役務相互提供協定(ACSA)からなる新ガイドライン関連法案を国会に提出、99年5月に成立した。

(高橋進 東京大学大学院法学政治学研究科教授 / 2007年)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「日米安保共同宣言」の意味・わかりやすい解説

日米安保共同宣言
にちべいあんぽきょうどうせんげん

1996年4月,訪日したクリントン米大統領と橋本首相の日米首脳会談で合意された日米安保に関する共同宣言。冷戦終結後の日米安保体制の再確認がその趣旨であったが,安保体制が従来の日米間,極東の範囲からアジア太平洋地域にまで拡大し,有事を含め一歩踏込んだ軍事同盟化への色合いを濃くした点で重大な意味をもつ。これにより日本側は日米防衛協力のための指針 (ガイドライン) の見直しと,米軍援助の具体化を余儀なくされた。

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