日本髪(読み)にほんがみ

精選版 日本国語大辞典 「日本髪」の意味・読み・例文・類語

にほん‐がみ【日本髪】

〘名〙 日本在来の女性髪形総称前髪、鬢(びん)、髱(たぼ)、髷(まげ)で構成されており、左右対称となっている。形により、丸髷島田髷桃割れ、いちょう返しなどがある。
※桑の実(1913)〈鈴木三重吉〉四「根の上った日本髪や帯の背中の恰好なぞは」

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デジタル大辞泉 「日本髪」の意味・読み・例文・類語

にほん‐がみ【日本髪】

日本に古くからある女性の髪形の総称。特に、明治以降の洋髪に対して、丸髷まるまげ島田髷桃割れ銀杏返いちょうがえなどをいう。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「日本髪」の意味・わかりやすい解説

日本髪
にほんがみ

わが国で古くから女性の間に行われた髪形の総称。その多くは元結(もとゆい)を使って髪を束ねて、前髪、鬢(びん)、髱(たぼ)をとり、それを集めて頭上に髷(まげ)をつくりあげるものである。元来女性は高貴の間では垂髪であったが、日常生活に不便なところから束ね髪となり、髷のある髪へと変わった。結い上げるための髪油も、蝋(ろう)分の多い鬢(びん)つけ油(あぶら)を用いたのは、ほつれを出さないくふうであり、髪飾りとしては最初、櫛(くし)、笄(こうがい)、簪(かんざし)に加えて、手絡(てがら)、根掛(ねが)け、丈長(たけなが)があり、さらに髱差し、鬢張りを用いて日本髪の美しさを表し、また頭上の髷を整えるためにかもじを利用した。日本髪の種類は、幕末から明治10年ごろまでだいたい280数種の髪形が、幼児から老女までに行われた。島田髷にしても10種以上がある。しかしながら、日本髪の不便、不経済、安眠ができないなどの欠点が露呈されて、1885年(明治18)大日本婦人結髪改良会の束髪が生まれ、さらに洋装の日常化および女性の職場進出などに伴って日本髪は衰退の一途をたどっている。

[遠藤 武]

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改訂新版 世界大百科事典 「日本髪」の意味・わかりやすい解説

日本髪 (にほんがみ)

明治時代西洋風風俗の一つとして洋髪が移入されたが,これを和服にも調和するようくふうし,日本髪と称した。鹿鳴館時代夜会巻や,その後に流行する束髪が日本髪の代表的髪形であった。その影響で江戸時代以来の鬢(びん),髱(たぼ)のある数多くの女髷(おんなまげ)は徐々にすたれ,それまで髷の形によって丸髷島田髷天神髷桃割などと区別して呼んでいたものをも,日本髪と総称するようになった。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「日本髪」の意味・わかりやすい解説

日本髪
にほんがみ

洋髪に対する和風の髪の総称。狭義には,江戸時代に入って,平安時代から行われていた垂髪の始末を考えるようになった結果生れた髪型,結髪。若衆歌舞伎の役者や遊女,湯女などが結いはじめたものが一般庶民に浸透し,やがては武家や京の公家にも採用されていったものと思われる。前髪,鬢 (びん) ,髱 (たぼ) ,髷 (まげ) の四要素から成るもので,髻 (もとどり) が根幹になっている。代表的なものに島田髷丸髷桃割れ,勝山髷,結綿 (ゆいわた) などがあるが,江戸時代には身分,年齢,職業,既婚,未婚,あるいは貧富の差などによって髪型も規制されていた。今日では特別の職業の人や,正月や結婚式などにみられる程度であるが,年齢,既婚,未婚,職業などによる区別はそのまま残されている。

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世界大百科事典(旧版)内の日本髪の言及

【髪形】より

…貴族や武家の女性は江戸前期までは中世以来の垂髪を踏襲していたが,庶民の間では,髷を結うことに積極的であった女歌舞伎や遊里の女性たちを中心として広まり,江戸中期以後には,島田髷や勝山髷が一般女性の間で広く結われるようになり,日本結髪史上の黄金時代ともいわれる多様な髪形の誕生を見たのである。 江戸時代女髷の概要を述べると,中期以降における特徴として,髪を前髪,髷,両鬢(びん),髱(たぼ)の五つに分髪して結いあげる形式が生まれ,後世の日本髪の基礎となった。この分髪形式は同時に生まれたわけではなく,それぞれの発達経路が少しずつ異なる。…

【髷】より

…髪を結う場合の最も基本的な形で,長い髪を頭上にまとめて1ヵ所でたばね,その上部を種々の形にたたんだり折り曲げたりする部分をいう。いわゆる日本髪は鬢(びん),髱(たぼ),前髪,髷から成り,髪全体をこの四つに分け,中心の髷にそれぞれの毛先を集めて結い上げる。桃山時代に女性の髪形が男性の髪形の影響を受けて頭上に結び上げる形になると,江戸時代を通じてさまざまな技巧がこらされ,髷が結髪の中心となり兵庫髷,大島田,奴(やつこ)島田などの島田髷,勝山髷,笄(こうがいまげ)その他,華やかな髪形が数多くつくり出された。…

※「日本髪」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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