日本開発銀行(読み)ニッポンカイハツギンコウ

デジタル大辞泉 「日本開発銀行」の意味・読み・例文・類語

にっぽん‐かいはつぎんこう〔‐カイハツギンカウ〕【日本開発銀行】

昭和26年(1951)に設立された全額政府出資の政府金融機関産業の開発および経済社会の発展に寄与する設備や高度で新しい技術の研究開発地域開発都市再開発などに必要な長期資金の貸し付けをした。平成11年(1999)日本政策投資銀行(現、株式会社日本政策投資銀行)に業務を引き継ぎ解散。開銀。

にほん‐かいはつぎんこう〔‐カイハツギンカウ〕【日本開発銀行】

にっぽんかいはつぎんこう

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精選版 日本国語大辞典 「日本開発銀行」の意味・読み・例文・類語

にほん‐かいはつぎんこう ‥カイハツギンカウ【日本開発銀行】

昭和二六年(一九五一)設立の、経済の再建、産業の開発に必要な長期資金を融資する全額政府出資の特殊銀行。貸付先は電力、鉄鋼石炭、海運、化学、地域開発、都市再開発など民間金融機関から融資を受けにくい産業が対象となった。平成一一年(一九九九)、政府系金融機関再編成一環として、北海道東北開発公庫と統合し日本政策投資銀行となる。

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改訂新版 世界大百科事典 「日本開発銀行」の意味・わかりやすい解説

日本開発銀行 (にほんかいはつぎんこう)

産業の開発ならびに経済社会の発展のための資金を供給する政府系金融機関。略称開銀。正しくは〈にっぽんかいはつぎんこう〉と読む。1951年,日本開発銀行法(1951公布)に基づいて,全額政府出資により設立された。国民経済に必要とされるが民間金融だけでは円滑な資金供給が期待しえないプロジェクトに対し,長期・低利資金の供給を行う。第2次大戦後の経済復興に必要な産業資金を供給する政策金融機関としては1947年〈復興金融金庫(復金)〉が設立されたが,その資金の相当部分を復金債の日銀引受けによって調達したことがインフレ激化の一因となったため,49年以降その新規貸出しは停止された。その後,50年の朝鮮戦争を契機として日本の設備投資活動が活発化したために,開銀が復金を承継して設立された。具体的な業務内容としては資金運用部からの借入れ,政府保証外貨債券の発行等により資金を調達し,日本企業に対する長期設備資金の融資,外貨債務に対する保証等を行っている。長期・低利資金の供給により産業の開発および経済社会の発展を促進するため,一般の金融機関が行う金融等を補完・奨励することを目的としている。そのため融資対象はプロジェクトの国民経済的観点からみた政策的意義に着目して選択され,市中金融機関との協調融資原則としている。融資対象分野は経済復興のための基幹産業向けが融資の中心であったが,その後の日本経済の発展とそれに伴う政策課題の変化に従って,産業開発のみならず,地方開発,都市開発,公害防止等の社会開発や福祉関連分野に至るまで,広がりをみせている。今日では,新素材,バイオテクノロジー,ニューメディア等先端分野における技術開発,新宿新都心整備などの都市開発等に重点を置く一方,原子力,LNG等のエネルギー対策融資や経済摩擦緩和のための外資系企業融資,テクノポリス建設のための地域開発融資等も積極的に行っている。1999年10月,北海道開発公庫と統合し,日本政策投資銀行と改組された。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「日本開発銀行」の意味・わかりやすい解説

日本開発銀行
にっぽんかいはつぎんこう

現、日本政策投資銀行。日本開発銀行は1951年(昭和26)日本開発銀行法によって設立された全額政府出資の政府金融機関。略称開銀。政府系金融機関の再編成の一環として、1999年(平成11)10月北海道東北開発公庫と統合、日本政策投資銀行として再スタートした(当時は政府金融機関として発足、2008年10月株式会社化)。日本開発銀行の目的は、長期資金の供給を行うことなどにより産業の開発および経済社会の発展を促進するため、一般の金融機関が行う金融などを補完し、または奨励することにある。具体的には、資源エネルギー開発、技術振興、海運、都市開発、地方開発、国民生活改善などのための長期資金を供給した。資金の原資は、資本金のほか、資金運用部資金、簡保資金など政府資金の借入れ、外債発行などによった。設立にあたって復興金融金庫の債権債務、見返り資金の私企業貸付を引き継いだこともあって、外部資金に比較して資本金の比重が高く、他の政府金融機関に比較して経営は安定していた。1986年度から出資機能も認められ、1997年3月末での、借入金残高14兆4672億円、外債発行実績は累計1兆5679億円、貸付金残高16兆2267億円。資本金3660億2500万円(全額政府出資、1998年7月末)。

[原 司郎]

『日本政策投資銀行編・刊『日本開発銀行史』(2002)』

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百科事典マイペディア 「日本開発銀行」の意味・わかりやすい解説

日本開発銀行【にほんかいはつぎんこう】

産業開発のための長期資金(1年以上)の低利供給により一般金融機関の補完を目的とする政府金融機関。同銀行法に基づき1951年設立,1952年復興金融金庫を吸収。おもに電力,海運,地域開発等に融資。資金源は全額政府出資の資本金,資金運用部からの借入,外国銀行からの借入等。本店東京。1999年10月,日本政策投資銀行に移行し,北海道東北開発公庫も統合。
→関連項目公庫

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「日本開発銀行」の意味・わかりやすい解説

日本開発銀行
にっぽんかいはつぎんこう

略称開銀。日本開発銀行法 (昭和 26年法律 108号) に基づき,経済再建,産業開発の促進を目的とする長期資金 (償還期限1年以上) の供給を行うために設立された政府金融機関 (1952年復興金融金庫の債権・債務を継承) 。主要業務は,(1) 開発資金の貸付,(2) 返済資金の貸付および債券の譲り受け,(3) 社債の応募,(4) 債務の保証,(5) 振興促進地域の建設事業に対する出資などで,一般金融機関が行う金融を補完することを目的とした。資金量については政府の財政投融資計画,特別会計予算,政府関係機関予算によって規定され,予算については国会の議決を必要とした。従来の貸付の中心は電力業,海運業など産業開発重点であったが,近年は都市開発,地方開発,公害防止などの社会開発分野への融資を拡充していた。 1999年北海道東北開発公庫と統合,日本政策投資銀行に業務を承継した。

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