日本赤十字社(にっぽんせきじゅうじしゃ)(読み)にっぽんせきじゅうじしゃ

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

日本赤十字社(にっぽんせきじゅうじしゃ)
にっぽんせきじゅうじしゃ

紛争や自然災害時における被災者に、人種国境を越えて人道的立場から保護と援助を行う赤十字精神にのっとった日本での組織。日本赤十字社法(昭和27年法律305号)による特殊法人である。1877年(明治10)西南の役の際、傷病者救護のため、佐野常民(つねたみ)、大給恒(おぎゅうゆずる)(1839―1910)両元老院議官らによって始められた救護団体「博愛社」がその前身である。同社は1886年日本政府がジュネーブ条約に加入したので翌年日本赤十字社と改称し、国際赤十字の一員として公認された。その活動範囲は広く、世界各国の赤十字と連携して他国の難民救済、国内における災害救援、医療、看護師等の養成、献血輸血の血液事業、講習(救急法、水上安全法、家庭看護法など)、またボランティアによる組織の「赤十字奉仕団」、学校教育の枠内で赤十字精神形成のための「青少年赤十字」などの結成と活動も行っている。日本赤十字社の事業は、およそ1200万人を数える社員(会員)や関係団体からもたらされる社費および一般からの寄付によって支えられており、毎年5月には社員増強運動が行われている。日本赤十字社の医療施設は、病院老人保健施設など104、血液センター67、社会福祉施設28、職員5万5204人(2007年現在)である。

[梶 龍雄]

『日本赤十字社編・刊『日本赤十字社社史稿』編年体で10巻(明治10年~平成7年)既刊(1911~1999)。以下続刊予定』『桝居孝著『世界と日本の赤十字』(1999・タイムス)』『吉川龍子著『日赤の創始者 佐野常民』(2001・吉川弘文館)』


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