日本文徳天皇実録(読み)にほんもんとくてんのうじつろく

精選版 日本国語大辞典 「日本文徳天皇実録」の意味・読み・例文・類語

にほんもんとくてんのうじつろく ニホンモントクテンワウジツロク【日本文徳天皇実録】

官撰史書で、六国史の第五。一〇巻。藤原基経菅原是善都良香らの撰。清和天皇の勅により貞観一三年(八七一)編修開始、中絶の後、陽成天皇の勅により再開、元慶三年(八七九成立嘉祥三年(八五〇)の践祚から天安二年(八五八)の崩御に至る間の文徳天皇の治世を漢文・編年体記述文徳実録

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デジタル大辞泉 「日本文徳天皇実録」の意味・読み・例文・類語

にほんもんとくてんのうじつろく〔ニホンモントクテンワウジツロク〕【日本文徳天皇実録】

文徳実録」の正式名称。

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百科事典マイペディア 「日本文徳天皇実録」の意味・わかりやすい解説

日本文徳天皇実録【にほんもんとくてんのうじつろく】

六国史(りっこくし)の第5。《文徳実録》とも。10巻。勅撰歴史書藤原基経(もとつね)らの撰。879年完成。文徳天皇1代(在位850年―858年)の歴史を編年体で記したもの。
→関連項目菅原是善蔵鉤日本三代実録都良香類聚国史

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改訂新版 世界大百科事典 「日本文徳天皇実録」の意味・わかりやすい解説

日本文徳天皇実録 (にほんもんとくてんのうじつろく)

日本古代の官撰の史書。略して《文徳実録》ともいう。六国史の第5。10巻。文徳天皇1代,850年(嘉祥3)から858年(天安2)まで9年間のことを記す。清和天皇の命をうけて藤原基経らが編纂にあたり,陽成天皇の879年(元慶3)完成。実録は中国で皇帝1代ごとに,起居注をもとにその治世を記し,歴史編纂の材料としたもの。日本ではここで初めて実録の称を用いたが,以前の国史と体例の上でとくに大きな変化はない。《新訂増補国史大系所収
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「日本文徳天皇実録」の意味・わかりやすい解説

日本文徳天皇実録
にほんもんとくてんのうじつろく

『文徳実録』ともいう。勅撰(ちょくせん)の歴史書。10巻。六国史(りっこくし)の一つ。850年(嘉祥3)より858年(天安2)まで文徳天皇(在位850~858)一代の歴史の編年体の実録。藤原基経(もとつね)らが、871年(貞観13)に、清和(せいわ)天皇(在位858~876)の勅により撰集を開始したが、一時中止された。しかし、878年(元慶2)陽成(ようぜい)天皇(在位876~884)の勅により再開、翌年完成した。本書は、以前の史書に比べて、薨卒(こうそつ)伝が豊富になった。このことは、律令(りつりょう)体制の解体期に、古代国家再編に努めた人たちの伝記によって、当代と将来の範としたものと考えられる。『国史大系』所収。

[林 幹彌]

『坂本太郎著『六国史』(1970・吉川弘文館)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「日本文徳天皇実録」の意味・わかりやすい解説

日本文徳天皇実録
にほんもんとくてんのうじつろく

文徳天皇一代の編年史。六国史の一つ。 10巻。嘉祥3 (850) ~天安2 (858) 年までを扱う。貞観 13 (871) 年藤原基経らに命じて編纂させ,のち基経,菅原是善,都良香,島田良臣らによって続行され,元慶3 (879) 年完成。特徴は,政治,法制に関するものが極端に省かれ,人物の伝記が豊富である。したがって五位の位階の者の伝記まで載せられ,死去を書かれた人物で伝記を載せていない例はわずか1件。『国史大系』所収。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「日本文徳天皇実録」の解説

日本文徳天皇実録
にほんもんとくてんのうじつろく

「文徳実録」とも。六国史(りっこくし)の一つで,「続日本後紀」に続く5番目の勅撰の正史。10巻。850年(嘉祥3)3月から858年(天安2)8月までの文徳天皇一代を漢文編年体で記す。871年(貞観13)に清和天皇の命により藤原基経(もとつね)らが編纂を開始したが,数年にして一時中止。878年(元慶2)陽成天皇の命で事業を再開し,翌年,基経らによって完成,奏上された。大江音人(おとんど)・都良香(みやこのよしか)らが編纂に加わっている。政治や法制に関する記事が少ないのに比べ,人物の伝記記事が豊富である。「国史大系」所収。

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旺文社日本史事典 三訂版 「日本文徳天皇実録」の解説

日本文徳天皇実録
にほんもんとくてんのうじつろく

平安前期の歴史書。六国史の第5番目
略称『文徳実録』。879年完成。10巻。清和天皇の勅命により藤原基経らが編纂した。『続日本後紀』につぎ,文徳天皇1代850年より858年までの編年体の史書。

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