日本原子力発電(株)(読み)にほんげんしりょくはつでん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「日本原子力発電(株)」の意味・わかりやすい解説

日本原子力発電(株)
にほんげんしりょくはつでん

民間電力会社。原子力発電の専業会社として、9電力会社および電源開発株式会社の共同出資により、1957年(昭和32)に設立された。設立にあたっては、民間主導案と政府主導案が対立したが、結局、民間主導案に沿った形での会社発足となった。日本原子力発電は、1966年に茨城県那珂(なか)郡の東海発電所で、日本初の商業ベースでの原子力発電を開始した。東海発電所1号機が採用したのはイギリスのコールダーホール改良型炉であったが、その後日本の原子力発電所では、技術進歩をとげたアメリカの沸騰水型軽水炉加圧水型軽水炉が使用されるようになった。しかし、日本原子力発電東海発電所の建設・運転に9電力各社の技術者が多数参加し、多くの貴重な体験を持ち帰り、自社における原子力開発に活用したことは間違いない事実である。1970年に敦賀(つるが)原子力発電所(福井県敦賀市)、1978年に東海第二原子力発電所(茨城県那珂郡)の運転をそれぞれ開始。このうち敦賀原子力発電所は、沸騰水型軽水炉(1号機)と加圧水型軽水炉(2号機)が同じ敷地内に並存する、日本で唯一のユニークな原子力発電所である。1998年(平成10)に東海発電所は営業運転を終了し、2001年から、日本で初めての原子力発電所の廃止措置に取り組んでいる。資本金1200億円(2008)、売上高1784億円(2008)。東海第二、敦賀の2原子力発電所をもつ。

[橘川武郎]

『日本原子力発電株式会社編・刊『日本原子力発電三十年史』(1989)』『橘川武郎著『日本電力業発展のダイナミズム』(2004・名古屋大学出版会)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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