日和見(読み)ひよりみ

精選版 日本国語大辞典 「日和見」の意味・読み・例文・類語

ひより‐み【日和見】

〘名〙
天候状態を観測すること。また、その人。特に和船航海では好天順風を第一条件とするため、常に空模様を予測する必要があり、その技術に長じることが船頭の重要な資格とされた。
俳諧・洗濯物(1666)一「日和見のならひの外や花ぐもり〈正隆〉」
周囲形勢をうかがい、自分の態度を積極的に決定しないこと。事のなりゆきによって去就を決めようとすること。
※俳諧・見花数寄(1679)「摺子木の先は南へ傾きて〈一鶴前句の逃れ知らぬ日和見〈西国〉」

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デジタル大辞泉 「日和見」の意味・読み・例文・類語

ひより‐み【日和見】

有利なほうにつこうと、形勢をうかがうこと。
空模様を見ること。また、その役の人。
「夢もむすばずありしに、―に起こされ」〈浮・一代男・三〉
[類語](1御都合主義日和見主義事なかれ主義オポチュニズム

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改訂新版 世界大百科事典 「日和見」の意味・わかりやすい解説

日和見 (ひよりみ)

日和は天気をさす。日和見は天気の状況をうかがうことであり,江戸時代には各地の港近くの小高い丘に日和見を行う場所があり,日和(ひより)山という地名が付せられている。十二支の方角石が置かれており,日和見の人がこの場所に立ち,風の向き,雲の動き,潮の速さなどをおしはかり,航海する船のコースをいろいろと検討したのである。日和見の名人といういい伝えも残っており,港の船頭や船問屋の主人がしばしば行ったとされている。代々世襲の家もあり,かつての日和見の重要性を示している。沿岸部の大きな港をもつ地域では,日和見役の役人も定められていた。航海だけでなく,陸地においても,農耕に影響を与える天候についての関心は古来よりある。日和申しといって,晴天を祈願する祭りがあり,形代(かたしろ)としての人形をまつった痕跡が,日和坊主とかてるてる坊主などの語に残っており,子どものまじないに変化している。日和見の語は,近代には,御都合主義やオポチュニズムの代名詞のようにも用いられるようになった。
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世界大百科事典(旧版)内の日和見の言及

【天気】より

…雲が生じて太陽や月が覆われ,雨が降り出す状態は曇天,雨天というのに対し,晴天と表現している。晴は,また日和(ひより)ともいい,日和を見る日和見もある。日本列島は,山地によって多くの面積が占められており,気象の変化は地域ごとにそれぞれ格差がある。…

※「日和見」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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