既往症
きおうしょう
診察時に至るまでの患者の病歴をいう。疾病の診断を正確に下すため、既往症の採取は微に入り細をうがつ必要がある。患者にありのままを語らせ、医師がその要点をつかみ、現症と関係づけて焦点を絞っていく。意識障害を伴う疾病などでは、発作時の状況を語ることができないので、付添い人の言を十分に参考にする。
既往症の把握は、問診によって一定の順序に従い、遺漏なく聴取することがたいせつである。すなわち、家族歴として、祖父母、両親、兄弟姉妹についての疾病の有無、死因、また、遺伝的・体質的負荷を問う。既往症として、出生時の状況や、経過した疾病、月経、生活様式、職業、嗜好(しこう)品などを聴取するのが通例である。
[井上義朗]
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きおう‐しょう キワウシャウ【既往症】
〘名〙 以前かかったことのある病気で、今は直っているもの。
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カズイスチカ(1911)〈森鴎外〉「既往症を聞いて見ても、
肝臓に何か来さうな、取り留めた事実もないのです」
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デジタル大辞泉
「既往症」の意味・読み・例文・類語
きおう‐しょう〔キワウシヤウ〕【既往症】
これまでにかかったことのある病気で、現在は治癒しているもの。既往歴。
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既往症
過去に罹患した疾病などを記した,健康に関する記録.
出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報
きおうしょう【既往症 anamnesis】
過去にかかったことのある病気や外傷などのこと。医師は初診の際,これを病人(または付添い)から主訴,現病歴とともにききとりカルテに記入する。この場合,医師は単なる既往症名をきくにとどまらず,その時期や治療内容,さらに病人自身の出産時の状況,月経状態,出産の有無やその状態をききとり,既往歴とする。また医師は問診によって病人の嗜好品や生活環境,職業などについてもききとるが,これは,既往症を含めてこれらのことが現在の病気と関係があるかどうかを診断上考える必要があるからである。
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