新箸(読み)にいばし

精選版 日本国語大辞典 「新箸」の意味・読み・例文・類語

にい‐ばし にひ‥【新箸】

〘名〙 関東地方東部で六月二七日の祝。また、この日にうどんなどを食べるための、薄(すすき)や萱(かや)青い茎の箸。

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改訂新版 世界大百科事典 「新箸」の意味・わかりやすい解説

新箸 (にいばし)

茅(カヤ)の箸で食物を食べる7月(旧暦では6月)下旬の行事。新箸の祝ともいう。神奈川県の三浦半島から千葉県一帯にかけて行われ,7月26日か27日の所が多い。新しく作った茅の箸をいったん神棚供え,新小麦でこしらえたうどん,小麦まんじゅうなどをそれで食べる例が一般的だが,赤飯を蒸したりカボチャを煮て食べる例や,小豆粥を作る例もある。農事に関するなんらかの祭りだと思われ,稲生育を祈る行事だとも説かれるが,行う理由について十分には究められていない。また,源頼朝や六代御前(平維盛の子)に結びつけて説く伝承もあるが,確かとはいい難い。ただこれに関連するかと思われるものとして,茨城県各地には青屋箸,青屋様といって同様のことが行われているし,長野県諏訪大社の8月下旬の御射山祭(みさやままつり)には青茅や芒(ススキ)で小屋を設け,神主などがこの中で籠ることがあり,一般の家々でもこれに結びつけて芒に赤飯などを供えて祭る例などもある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「新箸」の意味・わかりやすい解説

新箸
にいばし

旧暦6月27日に行われる年中行事。千葉県などではその年とれた小麦でつくったうどんや団子を、ススキやカヤの青い(緑色)茎でつくった箸で食べる。新箸の祝いともいう。長野県や新潟県では6月または7月の27日の行事で、尾花(ススキ)の茎のまだ青いのを赤飯に添えて神棚に供える。青箸の年取りとも尾花祭りともいい、作物の無事生育を祈る。長野県諏訪(すわ)大社の御射山(みさやま)祭(現在は月遅れで8月27日)の影響によるもので、全国に1万社近くある諏訪神社の祭日が27日であるのと関連する。

[井之口章次]

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百科事典マイペディア 「新箸」の意味・わかりやすい解説

新箸【にいばし】

ススキやスゲの青い茎で箸を作り特定の食物を食べる行事。千葉県の各地では6月27日を新箸の祝として,新麦でうどんやだんごを作り神に供える。信越地方にも青箸の日(7月27日)の行事がある。いずれも豊作を祈る行事とされる。

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