新田次郎(読み)にったじろう

精選版 日本国語大辞典 「新田次郎」の意味・読み・例文・類語

にった‐じろう【新田次郎】

小説家長野県出身。本名藤原寛人(ひろと)気象庁勤務富士山頂観測所の体験土台に「強力伝」で山岳小説家として登場した。著「八甲田山死の彷徨」「武田信玄」など。明治四五~昭和五五年(一九一二‐八〇

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デジタル大辞泉 「新田次郎」の意味・読み・例文・類語

にった‐じろう〔‐ジラウ〕【新田次郎】

[1912~1980]小説家。長野の生まれ。本名、藤原寛人ひろと。気象台勤務の経験を生かした山岳小説で人気を集め、昭和を代表する作家となる。また歴史小説大作でも知られる。「強力伝ごうりきでん」で直木賞受賞。他に「孤高の人」「八甲田山死の彷徨」「武田信玄」など。映像化された作品も多い。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「新田次郎」の意味・わかりやすい解説

新田次郎
にったじろう
(1912―1980)

小説家。本名藤原寛人(ひろと)。長野県生まれ。無線電信講習所(現電気通信大学)卒業。中央気象台(現気象庁)に就職し、富士山観測所や満州(中国東北)中央気象台などに勤めた。第二次世界大戦後、妻藤原ていの満州からの引揚げ体験記『流れる星は生きている』(1949)がベストセラーになったのに刺激されて小説を書き始め、富士山の強力(ごうりき)をめぐる友情物語『強力伝』(1951)が『サンデー毎日』の懸賞に入選。同作を収めた処女作品集『強力伝』(1955)で直木賞を受賞。以来、専門の知識と体験により次々と山岳小説を生む。さらに、推理、歴史小説などにも境地を開くが、自然の脅威とそれと闘う人間の姿を描くというテーマは一貫している。『八甲田山死の彷徨(ほうこう)』(1971)、『武田信玄(しんげん)』(1969~73)などの代表作がある。

[高橋広満]

『『新田次郎全集』全22巻(1974~76・新潮社)』

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百科事典マイペディア 「新田次郎」の意味・わかりやすい解説

新田次郎【にったじろう】

小説家。本名藤原寛人(ひろと)。長野県生れ。無線電信講習所本科(現電機通信大学)卒。中央気象台に就職し,富士山測候所に勤務。のち,満州国中央気象台に転任し,敗戦を新京で迎えた。妻藤原ていの引揚げの記録《流れる星は生きている》に刺激されて1951年に書いた《強力(ごうりき)伝》が《サンデー毎日》懸賞小説に一席当選,1956年直木賞。これは,富士山の強力をテーマにしたものだが,以後も《孤高の人》《八甲田山死の彷徨》など,山岳を舞台とした小説を多く発表。他方,《武田信玄》4巻(1969年―1973年)は時代小説の代表作。他に科学小説も書いた。1974年吉川英治文学賞受賞。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「新田次郎」の解説

新田次郎 にった-じろう

1912-1980 昭和時代後期の小説家。
明治45年6月6日生まれ。中央気象台にはいり,富士山観測所,満州国中央気象台などにつとめる。戦後,妻藤原ていの「流れる星は生きている」がベストセラーとなり,刺激されて「強力(ごうりき)伝」を執筆,昭和31年直木賞。山岳・歴史小説をつぎつぎと発表し,49年吉川英治文学賞。昭和55年2月15日死去。67歳。長野県出身。無線電信講習所(現電通大)卒。本名は藤原寛人(ひろと)。代表作に「八甲田山死の彷徨(ほうこう)」「武田信玄」など。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「新田次郎」の意味・わかりやすい解説

新田次郎
にったじろう

[生]1912.6.6. 長野,上諏訪
[没]1980.2.15. 武蔵野
小説家。 1932年無線電信講習所卒業。中央気象台に勤務,第2次世界大戦中は満州中央気象台に派遣された。 51年『強力 (ごうりき) 伝』が『サンデー毎日』の懸賞小説に当選,また同名の第1短編集 (1955) で直木賞を受けた。『縦走路』 (58) ,『八甲田山死の彷徨』 (71) ,『栄光の岩壁』 (73) など,特に山岳を舞台にした小説に力作が多い。

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世界大百科事典(旧版)内の新田次郎の言及

【藤原咲平】より

…著書には《雲》《雲を摑む話》などがある。なお,作家の新田次郎は藤原咲平の甥である。また姓は〈ふじはら〉ともいう。…

※「新田次郎」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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