新燃岳（読み）シンモエダケ

デジタル大辞泉

しんもえ‐だけ【新燃岳】

宮崎・鹿児島県境にある霧島山の一峰で、成層火山。標高1421メートル。山頂に直径約750メートルの火口をもち、南部には広大な裾野がある。享保元年（1716）に最古の噴火記録がみられ、その後現在まで断続的に噴火を繰り返している。

出典　小学館

日本歴史地名大系

新燃岳
しんもえだけ

• 宮崎県：小林市
• 新燃岳

小林市と鹿児島県姶良（あいら）郡霧島（きりしま）町の県境に位置する霧島山中の活火山。標高一四二〇・八メートル、直径約七五〇メートルの巨大な火口をもつホマーテ型で、南部に広大な裾野がある。北部は獅子戸（ししこ）岳（一四二九メートル）、南西部は大浪（おおなみ）池（霧島町など、標高一四一一・四メートル）、南東部は中（なか）岳（一三三二・四メートル）にそれぞれ連なる。火口壁より標高で約一三〇メートル下った火口底は青緑色に濁った強酸性の火口湖で、水深は約三〇メートルである。山体を形成する溶岩、岩滓は南部山麓の霧島町霧島神宮付近にまで達している。霧島山中では高千穂峰の側火山御鉢（おはち）とともに最も盛んに活動した火山である。新燃岳噴火と思われる最古の火山記録は享保元年（一七一六）で、「三国名勝図会」には大隅国囎唹（そお）郡の高千穂峰の項に西峰発火として同年九月二六日、「又燃ゆ、此時、高原狭野社・神徳院・霧島東御在所社・錫杖院、小林霧島中央宮・瀬戸尾寺、及び高原・高崎・小林等、民屋山林、皆焚たり」とある。

出典　平凡社「日本歴史地名大系」

日本大百科全書(ニッポニカ)

新燃岳
しんもえだけ

宮崎・鹿児島県境にある霧島火山群(きりしまかざんぐん)の一峰で、成層火山。標高1421メートル。鹿児島県霧島市と宮崎県小林市の境にある。20世紀以降も1934年（昭和9）、1959年（昭和34）に噴火、21世紀にも噴火を繰り返し、付近の山林や耕地に被害をもたらしている。山頂には直径約750メートルの火口があり、2011年の噴火までは湛水(たんすい)して火口湖となっていた。高千穂峰の側火口の御鉢(おはち)と並びもっとも活動的な部分である。岩石は輝石安山岩。高千穂峰から韓国(からくに)岳への縦走路の中間点に位置する。付近の中岳とともにミヤマキリシマの名所である。

［塚田公彦］

[参照項目] | 霧島山

出典　小学館　日本大百科全書(ニッポニカ)

知恵蔵mini

新燃岳

鹿児島、宮崎県境の霧島連山中央付近に位置する活火山。標高1421メートル。火口の直径は約750メートル。霧島屋久国立公園の特別保護区域となっており、鮮やかなエメラルドグリーンの火口湖を始め活発な火山活動ゆえの風景を楽しむため登山する人もいる。記録に残っている範囲では、江戸時代より火山活動が活発となり、近年に至るまで何度も噴火している。直近では2011年に大規模な噴火が起こり、降り積もった火山灰が厚さ1センチメートル以上となった場所の総面積は約200平方キロメートルに及んだ。14年2月25日、火山噴火予知連絡会は「地下のマグマだまりが昨年12月頃から膨張する傾向にあり、今後の推移に注意する必要がある」と発表。14年2月27日現在、気象庁は噴火警戒レベル2(火口周辺規制)に指定し、火口から1キロほどの範囲では、噴火した時に飛散する大きな噴石などに警戒が必要としている。

(2014-2-27)

出典　朝日新聞出版

世界大百科事典（旧版）内の新燃岳の言及

【霧島山】より

…これらの楯状火山の山体上および周辺地域では，おもに更新世末以降現在に至るまでの期間に，多くの場所で噴火活動が起こり，安山岩質の比較的小規模な火山体や火口が多数形成された。韓国岳，大浪池(1411m)，新燃（しんもえ）岳(1421m)，中岳(1332m)，御鉢（おはち）(約1400m)，高千穂峰(1574m)などの霧島火山中央の山頂部を構成する山体，並びに飯盛山(846m)，甑（こしき）岳(1301m)，夷守（ひなもり）岳(1344m)，大幡山(1353m)などの山体，さらに六観音御池（ろくかんのんみいけ），白紫（びやくし）池，不動池，大幡池，御池（みいけ）などの火口はこの時期に形成された。これらの火口や火山体は，生成時期が新しいため，いずれも山体の開析はあまり進んでいない。…

※「新燃岳」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典｜株式会社平凡社「世界大百科事典（旧版）」