しんぱ‐ひげき【新派悲劇】
〘名〙
①
新派劇で演じられた明治末・大正初期の社会を背景とする通俗
悲劇。「
婦系図」「
不如帰」など。また、それを活動写真(映画)にしたもの。
※屋根裏の法学士(1918)〈宇野浩二〉「コミック手踊、
新派悲劇、何一つとして彼の鑑賞の対象とならぬものはない」
② いかにも涙をそそるような家庭的悲劇。
※仮面の告白(1949)〈三島由紀夫〉二「彼が『新派悲劇』と名付けたところの、祖母と私との
別離の一場面を経て」
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デジタル大辞泉
「新派悲劇」の意味・読み・例文・類語
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世界大百科事典内の新派悲劇の言及
【悲劇】より
…これらの悲劇はあくまでも人間界の事件をめぐって成立するのである。 このことは,明治以後の日本の悲劇の代表である〈新派悲劇〉についてはいっそう明白である。19世紀のヨーロッパの感傷的なメロドラマの場合と同じく,悲劇の契機となる対立や葛藤は,おおむね狭い視野におさめられており,私的原理と矛盾する公的原理は,国家や民族への忠節といった大規模なものではなくて,家庭や恩人への忠節といった小規模なものであるのが普通である。…
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出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報