新楽(読み)シンガク

デジタル大辞泉 「新楽」の意味・読み・例文・類語

しん‐がく【新楽】

新しい音楽。
雅楽で、唐楽の楽曲分類の一。分類基準は中国での成立時期、日本への伝来時期、曲の形式新旧など、諸説があってあいまい。羯鼓かっこを用いるのが特徴。⇔古楽

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精選版 日本国語大辞典 「新楽」の意味・読み・例文・類語

しん‐がく【新楽】

〘名〙
① 新しい音楽。
太平記(14C後)一三「其魂魄猶濮水の底に留て、此曲を奏するを、君今新楽(シンガク)に写して、是を翫び給ふ」 〔礼記楽記
② 日本の雅楽曲の様式上の分類用語。古楽では壱鼓(いっこ)を打つのに対し、新楽では羯鼓(かっこ)を打つ。
※龍鳴抄(1133)上「拍子十、新楽。ふるき譜に五反すべしとしるしたるは。もし舞ひの有りけるにや」

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改訂新版 世界大百科事典 「新楽」の意味・わかりやすい解説

新楽 (しんがく)

雅楽曲の種別を示す用語で古楽に対する。唐楽を成立起源や音楽様式によって2分類したものだが,新旧を分ける年代の基準については諸説ある。中国では六朝以前,日本では唐の玄宗以前などとされるが,その考証は困難であり,むしろ唐楽現行曲にみられる様式上の差異による定義づけが可能である。まず,古楽には原則的に壱鼓(いつこ),新楽には羯鼓(かつこ)を用いる。壱鼓と羯鼓の使い分けは,打音の特色より打法に意味がある。羯鼓は台に固定して座って打つので,トレモロ奏法(細かい流し打ち)を加えて,長い単位の周期性が表現できる。また舞の動作のうえでも古楽と新楽ではとくに曲頭のパターンにそれぞれを特徴づける手がある。それはおそらく創作年代の差だけでなく,創作された地方の影響もあろうと思われる。乱声(らんじよう)という様式の曲に古楽乱声と新楽乱声があり,現在新楽乱声は《振鉾(えんぶ)》という儀式開始の舞楽に用いられる。
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世界大百科事典(旧版)内の新楽の言及

【唐楽】より

…伝来当初は,もっと多様な楽器編成であったことが正倉院の遺物などからしのばれる。唐楽の演目の種別に古楽新楽があるが,古楽は壱鼓の使用を原則とし,新楽は羯鼓を使用する。
[調子・拍子]
 唐楽の音楽理論としては,旋律の旋(めぐ)りの中心となる音を体系化した〈調子〉の概念と,打楽器のリズム法を規定する〈拍子〉の概念がある。…

※「新楽」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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