日本大百科全書(ニッポニカ) 「新庄嘉章」の意味・わかりやすい解説
新庄嘉章
しんじょうよしあきら
(1904―1997)
フランス文学者。広島市生まれ。広島陸軍幼年学校を中退し、岩国中学校を経て、早稲田(わせだ)大学仏文科卒業。在学中ロマン・ロランを耽読(たんどく)したことが、のちに『ジャン・クリストフ』(1956~59)を訳す機縁となった。処女出版のジッド『女の学校・ロベエル』(1933)の訳を志賀直哉(なおや)に認められ、以後『ジイドの日記』全5巻(1950~52)をはじめ多くのジッド作品を訳した。ほかにコンスタン、ラクロ、スタンダール、モーパッサン、マルロー、モンテルランなどを訳し、正確で篤実な気品ある訳文で知られる。1975年早大文学部教授を退職、同大学名誉教授。芸術院会員。第七次『早稲田文学』発行人。著書に、ジッドと妻マドレーヌとの不幸な結婚生活を描いた『天国と地獄の結婚』(1983)などがある。
[平岡篤頼]