新島(読み)ニイジマ

デジタル大辞泉 「新島」の意味・読み・例文・類語

にいじま【新島】[姓氏]

姓氏の一。
[補説]「新島」姓の人物
新島襄にいじまじょう
新島八重にいじまやえ

にい‐じま【新島】[地名]

伊豆七島の一。東京都大島支庁に属する火山島抗火石と呼ぶ石材の産地。

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精選版 日本国語大辞典 「新島」の意味・読み・例文・類語

にい‐じま にひ‥【新島】

東京都、伊豆諸島北部の火山島。大島の南西約四キロメートルにある。漁業を主とし、くさやが特産で、抗火石という石英粗面岩を産出。面積約二三平方キロメートル。

にいじま にひじま【新島】

(「にいしま」とも) 姓氏の一つ。

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日本歴史地名大系 「新島」の解説

新島
にいじま

東京の南方約一六〇キロに位置する北部伊豆諸島中の島。面積二三・四二平方キロ。伊豆諸島中大島・八丈島三宅島に次いで大きい。南北に細長い流紋岩質の火山島で、中央北部に最高峰の宮塚みやづか(四三二メートル)があり、南部のむかい(三〇〇・七メートル)まで連なっている。両山の間に開けた平坦地に展開する島の中心地には村役場・都立高等学校・飛行場などがある。向山一帯は良質の抗火石(コーガ石)が産出、抗火石は古くから建築資材として利用され、島には特色のある石造家屋が多い。また抗火石がほとんど硅素から構成されているところから、近年はガラスアートが盛んである。大型船の発着する西岸の黒根くろね(新島港)から中心街までの約一キロの都道両側には抗火石を使ったモアイ像が並置されている。田原たばら遺跡では昭和三九年(一九六四)・同四〇年の調査で縄文時代前期から中期・後期・晩期、さらに弥生時代前期と各期にわたる遺物が出土、とくに弥生前期の遠賀川式の出土には注目された。その後の調査ではさらに古い縄文早期の遺物も確認されている。また渡浮根とぶね遺跡も縄文後期から晩期にかけての遺跡として注目をあび、とりわけ装身具・骨角器の出土量の多いことで知られている。三宅旧記(浅沼家文書)に「神、潮泡ヲ聚メテ築セ玉ヘハ、島ノ色白キ故新島ト名付ク」とある。「日本書紀」天武天皇一三年(六八四)一〇月一四日条には「伊豆島」の西・北の二面が隆起して一つの島となり、このとき鼓のごとき音が生じ、神が島を造り給う時の響きであろうと世上で噂したと記されるが、この新しい島を当島とみる説もある。「扶桑略記」仁和三年(八八七)一一月二日条によると、伊豆国は「新生島図一張」を献上しているが、この図には「神明放火、以潮所焼、則如銀岳、其頂有緑雲之気」という状景が描かれていたといい、この新生島は当島のこととされる。島内の最も新しい火山向山は、この仁和年間の火山活動によって形成された山とされる。新島の総鎮守である十三社神社の社伝によれば、島の開拓神は美戸乃久知姫(御途口大后明神)の第三王子であるという。

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改訂新版 世界大百科事典 「新島」の意味・わかりやすい解説

新島 (にいじま)

伊豆諸島の大島南西方にある火山島。式根島を含めて東京都大島支庁新島村に属する。新島は南北約11km,東西約3kmの細長い島で,面積約23km2,人口2509(2010),式根島を含めた新島村の人口は2883(2010)。島の北部にある宮塚山(432m)と南部にある向(むかい)山(283m)との間に低地が広がり,集落は低地の西海岸沿いに発達した本村と,北西部の小湾入に発達した若郷(わかごう)の二つがある。近世には伊豆諸島の中でも流人の数が多い島であった。近世以降漁業を基盤とし,カツオ釣り,棒受網,地引網などが盛んであった。現在は建網漁業を中心とする漁村で,ムロアジの干物〈くさや〉の特産地として知られるが,近年は豚の飼育も行われる。また南部の向山西麓から産出する耐火石材(石英粗面岩)の〈抗火石(こうかせき)〉は炉材や建築用石材,最近ではニューセラミックスの原料として利用され,全国に搬出される。海岸線が単調で港に適さないため島の産業開発を遅らせてきたが,昭和30年代から西岸の黒根に築港が進められ,本村と若郷を結ぶ南北縦貫路も整備された。1963年には島の南端の羽端(はばた)に防衛庁(現,防衛省)のミサイル試射場が建設された。試射場設置に際しては島民の激しい反対闘争があった。東京方面から大島経由の定期船が通じ,下田方面からも便があるほか,70年に開かれた飛行場に定期便があり,観光客が多い。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「新島」の意味・わかりやすい解説

新島
にいじま

伊豆諸島の活火山島。東京都大島支庁管内で、大島の南西約4キロメートル。南北約11キロメートル、東西約3キロメートル、面積約23平方キロメートル、標高432メートル(宮塚山)。人口2472(2009)で、人口562(2009)の式根島(しきねじま)とともに新島村をなす。白色で多孔質の流紋岩の溶岩円頂丘が多く、軽量・耐火の石材「抗火石(こうかせき)」として広く活用されている。1871年(明治4)まで流人の島であった。富士箱根伊豆国立公園の一部で、近年観光客が急増。イチョウの大樹のある長栄寺や、ソテツオガタマノキのある十三社神社(じゅうさんしゃじんじゃ)がある。有史以後の噴火は向(むこう)山の仁和年間(885~889)初年の噴火だけで、作井による温泉はあるが、噴気・地熱地帯はない。近年も島の付近でよく地震が群発している。定期船は東京・竹芝桟橋より、大島・利島経由で毎日運行、静岡県下田との間でも運行されている。航空便は東京調布飛行場との間に定期便がある。

[諏訪 彰]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「新島」の意味・わかりやすい解説

新島
にいじま

東京都伊豆諸島にある伊豆七島の火山島。活火山で,常時観測火山新島村に属し,南北に細長い島。中央部と北部の低地を除いては,大部分流紋岩の山地からなる。海岸は絶壁が続き,港湾に乏しい。最高峰は北部の宮塚山(432m)。9世紀に大規模な噴火の記録があり,以降噴火は見られないが,近年群発地震が発生している。抗火石(流紋岩)の切り出し,農業,漁業が行なわれ,くさやの干物は特産。南西部の間々海岸には温泉が湧出。西の前浜海岸は伊豆七島でも珍しい,白砂の砂浜海岸が続き,夏は海水浴場としてにぎわう。富士箱根伊豆国立公園に属する。東京,下田,熱海より定期便がある。面積 23.22km2。人口 2566(2000)。

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百科事典マイペディア 「新島」の意味・わかりやすい解説

新島【にいじま】

伊豆諸島中の一島。東京都に属し,式根島とともに新島村(27.54km2,2883人。2010)をなす。南北に細長い火山島で,大部分は流紋岩の山地。主集落は中部西岸にあり,東京・下田両港から船便,調布から航空路がある。14世紀末に上杉朝宗の支配下に入っており,江戸時代には200余戸の家があって塩焼や漁業を行っていた。抗火石,くさやを特産,養豚も盛ん。南端に防衛省のミサイル試射場がある。近海では時折震源の浅い地震が発生しており,活火山として気象庁が常時観測している。
→関連項目伊豆諸島

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デジタル大辞泉プラス 「新島」の解説

新島

鹿児島県鹿児島市、錦江湾に浮かぶ島。「しんじま」と読む。桜島の北東約1.5キロメートルに位置する。面積約0.13平方キロメートル。安政年間の桜島の噴火におり隆起して生まれた島。

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世界大百科事典(旧版)内の新島の言及

【下総国】より


[経済・産業]
 幕府の殖産興業政策は,直ちに下総で実施に移される。香取郡新島(しんしま)の計画的な開発は早くも天正(1573‐92)末年から開始されて寛永期(1624‐44)まで続けられ,十六島の開墾を完成させた。1670年(寛文10)には椿海(つばきうみ)干拓に着工,干潟八万石といわれる新田が生まれ,95年(元禄8)はじめて検地が行われた。…

【水郷】より

…中世に形成された沖之島に1590年(天正18)徳川氏の代官が常陸の佐竹氏に敗れた江戸崎城主土岐氏の家臣に見立新田として上之島を開かせたことに始まり,その後約50年間に次々と開発された。徳川家康によって〈新島(しんしま)〉と命名され,将軍の日光社参時の人馬や鹿狩りの勢子人足が免除されるなどの特権をもっていた。十六島新田の発展は17世紀中ごろからの約80年間で,利根川の河道付け替えによって砂州が拡大し,しだいに耕地化されていった。…

【伊豆諸島】より

…東京都に属し大島支庁(大島町,利島(としま)村,新島村,神津島(こうづしま)村),三宅支庁(三宅村,御蔵島(みくらじま)村),八丈支庁(八丈町,青ヶ島村)管轄下の島嶼(とうしよ)群をいう。かつては伊豆諸島以南の地も含めて漠然と豆南(ずなん)諸島と呼ばれた。…

※「新島」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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