文殊寺(読み)もんじゆじ

日本歴史地名大系 「文殊寺」の解説

文殊寺
もんじゆじ

[現在地名]江南町野原

南北に走る県道玉川たまがわ―熊谷線の西沿いに位置する。五台山と号し、曹洞宗本尊文殊菩薩。遠江国石雲せきうん(現静岡県榛原町)末で、大愚山と号した時期もあった。古くは野原のはら村の能満寺谷のうまんじやつにあって五台山能満寺と号する天台宗寺院で、治承四年(一一八〇)源頼朝が再興し、寺領二〇石を寄進したという。文明一三年(一四八一)一月二〇日火災によって文殊堂本堂・山門等すべてを焼失するが、同一五年比企郡高見たかみ(現小川町)城主増田四郎重富(長享六年没)が現在地に七堂伽藍を建立して曹洞宗文殊寺と改め、崇芝性岱(明応五年没)開山に招致した(以上「風土記稿」)。なお「龍門山石雲院史」によれば、開山は崇芝派七哲の一人季雲永嶽の弟子碧潭宗清と伝えることから、崇芝は勧請開山であったかもしれない。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「文殊寺」の意味・わかりやすい解説

文殊寺
もんじゅじ

埼玉県熊谷(くまがや)市野原にある曹洞(そうとう)宗の寺。本尊文殊菩薩(ぼさつ)は隋(ずい)伝来のものといわれ、日本三文殊の一つ。山号は大愚山。もとは能満寺と称する天台宗の寺で、源頼朝(よりとも)により再興されたが、1481年(文明13)火災により全焼、83年に増田四郎重富(しげとみ)が再建して文殊寺と号し、曹洞宗に転派した。開山は宗芝性岱。古くは364の末寺をもつ大寺であったが、現在は10寺の本寺である。

[中山清田]

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