デジタル大辞泉
「散散」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
さん‐ざん【散散】
[1] 〘形動ナリ・タリ〙
① ちりぢりになるさま。細かくばらばらになるさま。
※
御堂関白記‐長和二年(1013)八月一三日「其中有
二居檜破子長櫃
一、侍二人取
レ之持上間、打落為
二散々
一」
※
古今著聞集(1254)一二「うみ柿のおちけるが、この
弓とりの
法師がいただきにおちて、つぶれてさむざむにちりぬ」
② 物事の程度のはなはだしいさま。乱れてはげしいさま。
※高野本平家(13C前)一「
国務をおこなふ間非法非礼を張行し神社仏寺権門勢家の庄領を没倒し、散々
(サンザン)の事どもにてぞありける」
※保元(1220頃か)上「親治ちっともさはがず弓とりなをして、散々に射るに」
③ 様子のひどく悪いさま。見苦しいさま。
※中右記‐保安元年(1120)四月二四日「是去年本寺焼亡之夜忩取出之間、寛平法皇御物成散々也」
※浄瑠璃・夕霧阿波鳴渡(1712頃)上「霧様の御気色、秋の頃はさんざんで、勤めもお引なされしが奥に入て少御快気」
[2] 〘副〙 物事の程度が著しいさまを表わす語。いろいろとひどく。はなはだしく。さんざ。さんざっぱら。
※俳諧・
伊勢山田俳諧集(1650)「露にしもすべりがちなる道のすへ さんさんよごれたる旅ころも〈孝晴〉」
ちり‐ぢり【散散】
〘名〙 (形動) 散ってばらばらになること。はなればなれになること。わかれわかれになること。また、そのさま。葉や花が散ること、また、そのように落ちぶれたり乱れたりしていくことにもいう。
※
古今(905‐914)
雑体・一〇〇六「秋の
もみぢと ひとびとは おのがちりぢり わかれなば〈伊勢〉」
※
徒然草(1331頃)三〇「はての日は、いと情なう、たがひに言ふ事もなく、
我賢げに物ひきしたため、
ちりちりに行きあかれぬ」
※
浮世草子・好色盛衰記(1688)三「
観音も
同座に、
若女(ぢゃくにょ)二色を見る事。奢の
恋風・葉ずへちりぢりの身と成行はしれてある事なから」
さん‐ざ【散散】
〘副〙
① 十分満足するほど。
※洒落本・一事千金(1778)二「今までそこの茶をさんざたべた。此うへにのんだら、おかされてねられまい」
② 程度がはなはだしいさま。ひどく。さんざん。さんざっぱら。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報