政策決定(読み)せいさくけってい(英語表記)decision making; policy decision

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「政策決定」の意味・わかりやすい解説

政策決定
せいさくけってい
decision making; policy decision

特定の状況のもとで解決を要する問題に当面した主体が,その問題についての解釈ないしは評価を確定することによって一つの行動方針を選択する行動。広く人間の行う選択行動を意味する意思決定と同義に用いられることもあるが,狭義には政治的意思決定をさす。一般に政策決定理論といわれるのは広義にとらえた場合の諸理論の総称である。選択行動を一定の時間の流れのなかでとらえようとするとき,政策決定過程という概念が用いられる。しかしその場合,個々の決定主体の思考過程に焦点をあてるか,それとも外在的要因や社会関係の拘束を重視するかによって,政策決定過程のとらえ方に大きな差異が生れる。前者では当事者の自律的な決断に伴う責任もしくは選択の合理性が問われるのに対し,後者では他者からの影響と他者への影響とが交錯する一連の連鎖過程のなかで選択行動の必然性が問題とされる。換言すれば,前者は交換メカニズムにおける最適化行動であるのに対し,後者は政治メカニズムにおける価値配分ないし紛争解決行動である。そこでは政策の実施過程にゆだねられる裁量範囲は決して小さくなく,状況の変化に応じて政策の実質的内容に修正を施さなければならず,政策の実施を担当する組織の構造的特性や機能様式によって当初の目的が歪曲されたり,まったく予期しなかった結果が生じたりすることが珍しくない。なおオペレーションズ・リサーチシステムズ・アナリシス発達により,コンピュータを駆使した意思決定技術の開発が進んでいるが,そうした技術を導入することによってどこまで政策決定過程を合理化でき,どの程度まで活用の妥当性があるのかなどの問題がある。

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