放送博物館(読み)ほうそうはくぶつかん

改訂新版 世界大百科事典 「放送博物館」の意味・わかりやすい解説

放送博物館 (ほうそうはくぶつかん)

放送の発達変遷を示す資料を収集保管し展示する施設。日本で放送博物館という名称をもっているのは東京の港区にあるNHK放送博物館だけであるが,大阪の吹田市千里丘にある毎日放送MBS)の放送文化館(2003年閉館)も一種の放送博物館といえる。外国にもごくわずかだがこの種の博物館がある。たとえばアメリカのニューヨーク市の文字どおりの〈放送博物館Museum of Broadcasting〉は,過去の放送機器を展示するという一般のやり方を避け,ラジオ,テレビの放送番組をライブラリー化して自由に個人視聴できる施設となっている。NHK放送博物館は1956年3月3日,日本の放送開始30周年を記念して,正式の放送局の最初の設置場所である芝の愛宕山にNHKが開設したものである。おもな活動は,放送開始以来のラジオ・テレビの機器や文献類の収集整理と展示,放送ドラマ史などの調査研究のほか,教育普及事業として〈NHK番組を見る会〉の開催や地方在住の人々のための〈移動放送博物館〉の運行などを行っている。年間の入館者数は82年以来10万人を超えている。電波情報を伝播する放送は,基本的に一過性のもので,新聞のように残された記録から過去の活動を知ることはむずかしい。そうした点を補うものとして,放送博物館の意義はけっして小さくはない。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「放送博物館」の意味・わかりやすい解説

放送博物館
ほうそうはくぶつかん

放送の発達変遷を示す資料を集めた博物館。世界で最初の本格的な放送博物館は、日本放送協会(NHK)が日本の放送の発祥地である東京都港区の愛宕(あたご)山の上に設置したもので、この施設は1956年(昭和31)9月、博物館法第2条による博物館として正式に登録された。NHKの放送博物館が主として過去の歴史的展開を見せるものになっているのに対して、大阪府吹田(すいた)市千里丘にある株式会社毎日放送の放送文化館は、現在から未来視野を向けた博物館となっている。

後藤和彦


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