放物線(読み)ホウブツセン

デジタル大辞泉 「放物線」の意味・読み・例文・類語

ほうぶつ‐せん〔ハウブツ‐〕【放物線/×抛物線】

二次曲線の一。平面上で、一つの定直線g定点Fとからの距離の等しい点Pの軌跡。定直線に垂直で定点を通る軸に対して対称となる。g準線、Fを焦点という。直交座標を用いればy2axa定数)で表される。パラボラ抛射ほうしゃ線。
[類語]ラインすじ線条直線曲線実線破線点線波線斜線アンダーライン傍線折れ線垂線鉛直線接線水平線平行線対角線双曲線母線螺線らせん割線中線中心線

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改訂新版 世界大百科事典 「放物線」の意味・わかりやすい解説

放物線 (ほうぶつせん)
parabola

平面上で,1定点Fと1定直線dとからの距離が相等しい点の描く図形を放物線といい,Fをその焦点,dをその準線という。Fを通りdに垂直な直線は放物線の対称軸となる。この直線を放物線の軸といい,軸と放物線の交点を放物線の頂点という。頂点を原点とし,軸をx軸とする図1のような直交座標系では,焦点と準線の間の距離が2aである放物線は方程式y2=4axで表される。二次式yax2bxcのグラフは放物線で,重力の影響下で鉛直以外の方向に投げられた質点は放物線を描く(放物運動)。空間で直線mをそれと交わる直線lのまわりに回転したときに生ずる曲面を円錐面というが,いまlmとの交点を通らずm平行な平面πで円錐面を切れば切口は放物線となる。この意味で放物線は円錐曲線の一種である。この場合,πと1点で接し,円錐面と円で接する球面をとれば,πとの接点が放物線の焦点となり,円の平面とπとの交線が準線となる(図2)。放物線上の点Pにおける接線は焦点FをPに結ぶ直線およびPを通り軸に平行な直線と等しい角をなし,したがって軸に平行な光線が放物線の形の鏡にあたれば,みな焦点に集まる(図3)。放物線上の2点P,Qを結ぶ線分PQと放物線が囲む図形の面積は,PQに平行な放物線の接線の接点をRとするとき,三角形PQRの面積の4/3に等しい(図4)。
二次曲線
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「放物線」の意味・わかりやすい解説

放物線
ほうぶつせん
parabola

円錐曲線(えんすいきょくせん)の一つ。一定直線lと一定点Fとから等距離にある点の軌跡が放物線であり、Fを焦点、lを準線という(図A)。Fを通りlに垂直な直線に関して放物線は対称である。この直線を放物線の(主)軸、放物線と軸との交点を頂点という。頂点Oを原点とし軸をx軸とする直交座標系に関して、放物線の方程式はy2=4pxの形で、x=-pが準線である。放物線は、斜めに投げ上げられた物体が落下するときに描く曲線である。主軸に平行に入ってきた光は放物線の鏡で反射し、すべて焦点に集まる(図B)。

  y2=4k(x+k) (-∞<k<∞)
は、kの値を一つ定めると一つの放物線であるが、kの値に関係なくすべて同一の焦点(0,0)と同一の軸y=0をもつ。また、原点以外の任意の点を通りちょうど二つのkの値に対応する放物線があって、それらはその点で互いに直交する。このとき点(0,0)を放物線群の共焦点という(図C)。

[立花俊一]


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百科事典マイペディア 「放物線」の意味・わかりやすい解説

放物線【ほうぶつせん】

平面上で一定直線(準線)までの距離と,準線上にない一定点(焦点)までの距離が等しい点の軌跡。焦点を通り準線に垂直な直線をx軸,焦点から準線へ降ろした垂線(長さ2p)の垂直二等分線をy軸とする直角座標軸に関し,方程式y2=4pxで表される。離心率1,準線x=−p。円錐曲線の一つ。地上で物体を斜めに投げ上げたとき,空気の抵抗を無視すれば運動経路は放物線になる。→放物面

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「放物線」の意味・わかりやすい解説

放物線
ほうぶつせん
parabola

平面上に1つの定点F と1つの定直線 g とが与えられた場合,F にいたる距離 PF と g にいたる距離 PH が等しいような点P の軌跡を,F を焦点,g を準線とする放物線という。物を空中に斜めに投上げれば,投上げられた物体はこの曲線を描くので,放物線という名がある。直交座標で x 軸,y 軸をとれば放物線の方程式は y2=4px となる。ただしF の座標を (p,0) とする。

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世界大百科事典(旧版)内の放物線の言及

【軌跡】より

…軌跡という言葉を用いるとき,円や球は平面上または空間内において1定点から一定の正の距離にある点の軌跡ということができる。同様に,放物線は平面上において1定点とこの点を通らない一定直線から等距離にある点の軌跡ということができるし,直円柱面は空間内において一定直線から一定の正の距離にある点の軌跡ということができる。平面上に座標が導入されていれば,x,yについてのある関係式に対し,この関係式をみたす(x,y)を座標とするような点の軌跡が考えられる。…

※「放物線」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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