攀縁(読み)はんえん

精選版 日本国語大辞典 「攀縁」の意味・読み・例文・類語

はん‐えん【攀縁】

〘名〙
① 頼ってよじのぼること。また、人にすがって立身すること。攀援。〔生物学語彙(1884)〕
※偽悪醜日本人(1891)〈三宅雪嶺〉悪「権家の門に出入し、官府間に攀縁するの徒与の為に」 〔李白‐蜀道難〕
② 仏語。心が対象に向かってはたらくこと。心が対象によりかかってはたらきを起こすことで、煩悩を起こすもとになるはたらき。
顕戒論(820)下「於一切行、捨攀縁想、是檀波羅蜜」 〔元稹‐悟禅三首寄胡果詩〕
③ 怒ること。平静を失うこと。
今昔(1120頃か)三「舎利弗、此を聞て攀縁を(おこ)して隠れ居ぬ」
[補注]「色葉字類抄」の「へ」の部に「攀縁 不吉詞」また「文明本節用集」に「攀縁 ヘンヱン 不吉詞也」の例が見えるので古くは「へんえん」ともよまれたか。

へん‐えん【攀縁】

〘名〙 (「へん」は「攀」の呉音) =はんえん(攀縁)〔色葉字類抄(1177‐81)〕

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デジタル大辞泉 「攀縁」の意味・読み・例文・類語

はん‐えん【×攀縁】

[名](スル)
物にすがってよじのぼること。また、人を頼りにして立身出世をはかること。
「権家の門に出入し、官府間に―するの徒与の為に」〈雪嶺・偽悪醜日本人〉
心が対象によって働きを起こすこと。また、対象にとらわれること。
「よろづに―しつつせむ念誦、読経は、かひはあらむとすらむやは」〈栄花初花

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普及版 字通 「攀縁」の読み・字形・画数・意味

【攀縁】はんえん

攀援。〔三国志、呉、吾粲伝〕天の大いに風ふくに値(あ)ひ、~或いは沒(ふくぼつ)沈す。其の大ほ存する水中の生人皆攀號呼(がうこ)す。~粲(さん)と淵と、活かす、百餘人なり。

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