擬態語(読み)ぎたいご

精選版 日本国語大辞典 「擬態語」の意味・読み・例文・類語

ぎたい‐ご【擬態語】

〘名〙 広義擬声語一種音響には直接関係のない事象状態などを描写するもの。狭義の擬声語が、自然の音声言語音で忠実に直接的に模倣するのに対し、これは間接的に模倣し象徴的に言語音に写したもの。「そわそわ」「ぐずぐず」「にやり」の類。〔国語組織(1914)〕

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デジタル大辞泉 「擬態語」の意味・読み・例文・類語

ぎたい‐ご【擬態語】

事物の状態や身ぶりなどの感じをいかにもそれらしく音声にたとえて表した語。「つるつる」「じろじろ」「こっそり」など。なお、広義の擬声語には、擬態語が含まれることがある。→擬声語
[類語]擬声語擬音語オノマトペ

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改訂新版 世界大百科事典 「擬態語」の意味・わかりやすい解説

擬態語 (ぎたいご)

外界の音響を言語音で模写する擬声語に対して,客観的には必ずしも音響のない事象の状態を,擬声語の場合と同様形式で象徴的に描写する語形を,擬態語または擬容語という。日本語の特色として,擬態起源の動詞形容詞(〈ねばる〉〈ねばい〉等)のほかに,擬態語形がいろいろの形式また文法機能をもち,会話にも文章にもしきりに用いられる。形式については,用いられる音素の性質に傾向が認められ,その組合せの変化に応じてニュアンスが並行的に変わる。たとえば,〈ポッと〉(突然の出現),〈ポンと〉(同,はずみのある),〈ポッポッと〉(同,繰返し),〈ポンポン(と)〉(同,勢いのよい繰返し),〈ポロッと〉(突然の脱落),〈ポロリと〉(同,始終のある),〈ポロンと〉(同,はずみのある),〈ポロポロ(と)〉(同,連続繰返し)等である(〈パ〉〈パラ〉〈バ〉〈バラ〉等,また〈ポコ〉〈ボコ〉の場合と比較せよ。子音では清・濁および有声・無声,母音ではa:o,i:u:oがそれぞれ意味上の系列をなすらしい。eはまれに現れる。なお以上のような交替をもたないものもある)。〈ポン〉〈ピョコリ〉のような単式に対して,複式として,〈ドンドン〉〈フワリフワリ〉等の単純繰返し,〈ビラシャラ〉〈チラリホラリ〉〈エッチラオッチラ〉等の変形繰返しがある。また,文法上では,次の四つに分類される。(1)単独に,また〈と〉を伴って連用修飾格に立つ。〈サッと〉〈カッと〉〈ドキンと〉〈ギクリと〉〈ウンザリ(と)〉〈モヤモヤ〉〈ガラガラ〉。(2)動詞〈する〉(ときに〈なる〉も)に結合して,非継続的作用についての各種叙述の地位に立つ。〈カッとする〉〈ドキンとする〉〈ギクリとする〉〈ウンザリする〉〈モヤモヤする〉。(3)〈だ〉〈で〉〈な〉〈の〉〈に〉等を伴って,状態についての各種叙述の地位に立つ。〈ウンザリだ〉〈モヤモヤだ〉。(4)名詞となる。〈モヤモヤ〉〈ガラガラ〉(おもちゃ)。すべての擬態語がこれらの用法を具備するわけではない。擬声語には(3)は現れないが,普通には擬声・擬態の区別ははっきり意識されていないことが多い。擬声語と同様,表現内容は,他の概念語にくらべて直接的・具体的であるが,一方,〈ちょっと〉〈もっと〉等のように,擬態語の形式をもちながら,意味内容が最も抽象的なものもある。
擬声語
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「擬態語」の意味・わかりやすい解説

擬態語
ぎたいご

「キラキラ」「ダラダラ」「フラフラ」のように,直接に音響とは関係のない状態を描写するのに用いられる語。日本語には非常に多い。単独で,または「と」を伴って連用修飾語として用いられるほか,「ピッタリだ」のように形容動詞になるものや,「スッキリする」のように「する」を伴って動詞になるものもある。ときには,「ガッカリ」「ドキッ」などのように,間投詞として用いられることもある。 (→擬声語 )

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百科事典マイペディア 「擬態語」の意味・わかりやすい解説

擬態語【ぎたいご】

擬容語とも。物事の状態を,それに照応していると思われる音声で表した語。テキパキ,ニヤニヤ,プイと,フラフラ,ボンヤリなど。単独で,または〈と〉をつけて連用修飾語になるほか,サ変動詞〈する〉と複合したり,形容動詞,名詞として用いられたりする。→擬声語

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「擬態語」の意味・わかりやすい解説

擬態語
ぎたいご

擬声語・擬態語

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世界大百科事典(旧版)内の擬態語の言及

【擬声語】より

…その語形は,ほぼ一定の型があり,型の交替によってニュアンスが変わる。これは擬態語と同様で,文法上には多少の差が見られるが,普通は擬態語との区別が意識されない(両者をあわせて〈写生詞〉とよぶ人もある)。なお,鳴声の描写として,形式化した〈コケコッコー〉の類は,構文上では引用されるにとどまり,文法的諸機能をもたない。…

※「擬態語」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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