撞木(読み)しもく

精選版 日本国語大辞典 「撞木」の意味・読み・例文・類語

し‐もく【撞木】

〘名〙 「しゅもく(撞木)」の変化した語。
※宇治拾遺(1221頃)一「ある僧の、礼盤にのぼりて、すこしかほげしき違ひたるやうになりて、しもくをとりてふりまはして、打ちもやらで」
太平記(14C後)一五「悪し、其の義ならば、鳴様に撞とて鐘木(シモク)を大きに拵へて」
[語誌]「しゅもく」の転じた語形であるが、拗音の表記の問題があり、中世後期の節用集まで「しゅもく」の語形は見えない。「日葡辞書」は「しもく」のみを立項するが、同時期の節用集に両形が見られ、「妙本寺蔵いろは字」には「杵木 シュモク シモク共」とあるところから、おそらくは中・近世頃には両形が併存していたのであろう。

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デジタル大辞泉 「撞木」の意味・読み・例文・類語

しゅ‐もく【×撞木】

仏具の一。鐘・たたきがねけいを打ち鳴らす丁字形の棒。また、釣鐘を突く棒。かねたたき。しもく。
《形が1に似ているところから》突棒つくぼう異称

し‐もく【×撞木】

しゅもく」の音変化。
「―を取りて振りまはして、打ちもやらで」〈宇治拾遺・一〉

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日本歴史地名大系 「撞木」の解説

撞木
しもくのつじ

[現在地名]水戸市五軒ごけん町三丁目・さかえ町一丁目

富士山ふじさん町の中ほどから西に入り突当って南北に通じる町で、南は信願寺しんがんじ町、北は五軒町(長町)に突当る。町名の由来は町の形が能鉦を打つ撞木の形に似ていることにある(水府地理温故録、水府地名考、新編常陸国誌)。「水府地理温故録」によると、元禄三年(一六九〇)の令には「しもくのつじ」とするとあるが、同書では「四木のつじ」または「四木辻」とする。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

世界大百科事典(旧版)内の撞木の言及

【ばち(桴∥撥)】より

…邦楽器の打奏具としては,太鼓,かねなどの打ち棒をいうが,必ずしも棒状のもののみをいうのではなく,頭部を洋楽器のタンポンのように,なんらかのもので包んだものをもいい,その場合〈ばい〉ともいい,〈棓〉の字を当てることもある。また,棒の先で突き鳴らすものは,〈撞木(しゆもく)〉といって区別し,それにも梵鐘(ぼんしよう)を突く太い丸太状のものから,(かね)類をたたく丁字形のものまであるが,後者の頭部が球状になっている〈角(つの)撞木〉などは〈角桴〉ともいい,必ずしも〈撞木〉と〈桴〉とが厳密に区別されているわけではない。 日本の撥弦(はつげん)楽器のうち,とくに琵琶および三味線などの比較的大型の撥弦具を〈ばち〉といい,〈撥〉の字を当て,指先に付けたりはさんだりする義甲の〈爪(つめ)〉とは区別される。…

※「撞木」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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