摩周湖(読み)ましゅうこ

精選版 日本国語大辞典 「摩周湖」の意味・読み・例文・類語

ましゅう‐こ マシウ‥【摩周湖】

(アイヌ語「マシュウントー=カモの湖」の音訳から) 北海道東部、釧路支庁弟子屈(てしかが)町にある湖。摩周火山のカルデラに水をたたえたもの。五〇〇~七〇〇メートルの高さの絶壁が周囲を囲む。湖面標高三五一メートル。最大深度は二一一・五メートルで日本第五位。面積一九・二平方キロメートル。透明度はかつて世界第一位を誇った。阿寒国立公園の特別保護地域に指定

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デジタル大辞泉 「摩周湖」の意味・読み・例文・類語

ましゅう‐こ〔マシウ‐〕【摩周湖】

北海道東部、釧路総合振興局川上郡弟子屈てしかが町にあるカルデラ湖。湖岸は絶壁をなし、出入りする川がない。透明度が高いこと、霧が多いことで有名。面積19.2平方キロメートル。最大深度211.4メートル。湖面標高351メートル。
八木義徳短編小説、および同作を表題作とする小説集。作品集は昭和46年(1971)刊行。ラジオドラマも制作された。

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日本歴史地名大系 「摩周湖」の解説

摩周湖
ましゆうこ

弟子屈町北部所在のカルデラ湖。阿寒あかん国立公園内の阿寒湖(現阿寒町)屈斜路くつしやろ湖とともに阿寒三湖と称され、同公園内の特別保護地域に指定されている。長径七・五キロ、短径五・五キロの楕円形で、周囲約二〇キロ、面積約三〇平方キロ、河川の流入・流出はない。湖面の標高三五一メートル、水深は平均二〇〇メートルで最深部は二〇八メートルである。湖の中央にカムイシュ島(神島)とよばれる長径一一〇メートル、短径四〇メートル、湖面からの高さ二五メートル、湖面下の基底からは二三〇メートルからなる小島(溶岩円頂丘火山)がある。湖は屈斜路火山活動の反動として洪積世末期に起こった摩周火山の活動により、六〇〇〇―七〇〇〇年前に形成された摩周カルデラに由来する。

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改訂新版 世界大百科事典 「摩周湖」の意味・わかりやすい解説

摩周湖 (ましゅうこ)

北海道東部,釧路支庁弟子屈(てしかが)町にあるカルデラ湖。面積19.6km2。カルデラは長径7.5km,短径5.5kmのほぼ長円形をなし,カルデラ壁は500~700mの高さで,急崖をなして湖面に臨んでいる。流入・流出河川はない。屈斜路カルデラの南東壁上に形成された摩周火山が多量の噴出物を出した後に,頂上付近に生じたカルデラに水がたまって生じたものと考えられる。著しい貧栄養湖で水色は藍色を呈し,透明度が高く,1931年の調査では41.6mを記録して,バイカル湖をしのぎ世界第1位といわれたが,近年は30m以下に低下している。湖面の標高は351mで,湖水の最深部は212mあり,湖底は平たんである。湖の南東部のカルデラ内に噴出してカルデラ壁の一部を覆うカムイヌプリ摩周岳。855m)は急峻な円錐形をなしている。この山頂には直径約2kmのほぼ円形の火口があり,火口底は崖錐によって覆われている。噴火の記録はない。湖の中央部にあるカムイシュ島は,長径110m,短径40mの溶岩円頂丘である。

 湖の南西端の外輪山上に設けられた第1展望台からは根釧(こんせん)原野も見渡せるが,観光シーズンの夏には太平洋からの移流霧で視界がさえぎられることが多い。第1展望台の北約2km地点には第3展望台があって,湖全体とカムイヌプリの展望にすぐれる。この展望台から川湯,硫黄山方面への道路が通じる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「摩周湖」の意味・わかりやすい解説

摩周湖
ましゅうこ

北海道東部、釧路(くしろ)総合振興局管内の弟子屈町(てしかがちょう)にある湖。面積19.6平方キロメートル、周囲24キロメートル、最深部212メートル、平均深度137.5メートル、湖面標高351メートル。屈斜路カルデラの南東壁上に摩周火山が多量の噴出物を出し、その後、頂上を中心に長径7.5キロメートル、短径5.5キロメートルのカルデラを形成した。さらにカルデラ南東壁に中央火口丘カムイヌプリ(摩周岳。857メートル)が噴出し、カルデラの4分の1を埋めた。その窪地(くぼち)に水がたまって形成されたのが摩周湖で、湖岸は絶壁を巡らし、湖の中央付近には輝石石英安山岩からなる溶岩円頂丘のカムイシュ島がある。流入、流出する河川はないのに水位の変化はほとんどみられない。1931年(昭和6)の水深調査では透明度41.6メートル、世界一を記録したが、1952年(昭和27)の十勝(とかち)沖地震後は39メートルに低下、近年は30メートルを下回っている。水色は濃藍(のうらん)色を示し、西側の第一、第三展望台からの眺望美しいが、濃霧の発生日数が多く、湖面および遠く斜里岳、西方のアトサヌプリ火山群や屈斜路湖を遠望できる機会は多くない。阿寒(あかん)摩周国立公園域。

[進藤賢一 2018年5月21日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「摩周湖」の意味・わかりやすい解説

摩周湖
ましゅうこ

北海道東部,弟子屈町にあるカルデラ湖。面積 19.2km2。周囲 20km。最大水深約 211m。湖面標高 351m。流入・流出河川がなく水位がほとんど変化しないのが特色で,1952年の十勝沖地震の前までは世界一の透明度をもっていた。円頂状のカムイシュ島が浮かび,周囲は高さ 150~350mのカルデラ壁の断崖が囲む。南側の断崖上にカムイヌプリ(857m)が屹立しており,西側の断崖上に展望台がある。1934年指定の阿寒国立公園の一中心。

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百科事典マイペディア 「摩周湖」の意味・わかりやすい解説

摩周湖【ましゅうこ】

北海道東部,阿寒国立公園東部の湖。標高355m,面積19.22km2,最深211.4m。摩周火山(活火山)のカルデラ湖で,絶壁に囲まれ,南岸に火口丘カムイヌプリ(摩周岳)が突出。1931年世界第1の透明度41.6mを観測したが,現在は20m以下になっている。ベニマスが移植されている。西岸に展望台がある。
→関連項目川湯[温泉]弟子屈[町]

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事典 日本の地域遺産 「摩周湖」の解説

摩周湖

(北海道川上郡弟子屈町)
北海道遺産」指定の地域遺産。
阿寒国立公園内にある湖。透明度が高く、霧の風景が有名。環境の保全に対する地域住民の取り組みが高く評価されている

摩周湖

(北海道川上郡弟子屈町)
美しき日本―いちどは訪れたい日本の観光遺産」指定の地域遺産。

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