摩切・擦切・摺切(読み)すりきり

精選版 日本国語大辞典 「摩切・擦切・摺切」の意味・読み・例文・類語

すり‐きり【摩切・擦切・摺切】

〘名〙
① 物と物とを摩擦して切ること。また、そのような状態になったもの。
※俳諧・玉海集(1656)付句「すりきりとなるまでもてる馬の鞭 大事のあらばかけんかまくら〈貞徳〉」
② 金・財産などをすっかり使い果たして無一物になること。また、そのような人。一文なし。無一文。素寒貧(すかんぴん)
※人鏡論(1487)「彼近江守は分限より軍士あまたふちして、勝手大きにすりきりにて候が」
※仮名草子・犬枕(1606頃)「見苦しき物〈略〉すりきりのかりぎ」
③ 粉や粒状のものを、枡(ます)、茶わんなどの入れ物のふちと同じ高さにならして盛ること。「すりきり一杯
※北野社家日記‐文祿三年(1594)正月七日「御前へ之御供杉もり四せん・すりきり四せん也」

すり‐き・る【摩切・擦切・摺切】

[1] 〘他ラ五(四)〙
① 物と物とを摩擦して切る。こすって切る。〔日葡辞書(1603‐04)〕
② 金銭・財産などをすっかり使い果たす。一文なしになる。
※古文真宝笑雲抄(1525)四「困阨とはすりきりはてて埜処に居を云」
[2] 〘自ラ下二〙 ⇒すりきれる(摩切)

すり‐き・れる【摩切・擦切・摺切】

〘自ラ下一〙 すりき・る 〘自ラ下二〙 物と物とが摩擦して切れる。こすれて切れる。または、減る。
魔風恋風(1903)〈小杉天外〉後「毛の摩切れた白毛布、それに洋傘まで添へて」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android